1、貸金業務取扱主任者とは
貸金業務取扱主任者は、貸金業法12条の3第1項において「当該営業所又は事務所において、貸金業の業務に従事する使用人そのほかの従業者に、貸金業に関する法令の規定を遵守して、貸金業の業務を適性に実施するために必要なものを行わせるための助言又は指導を行う」とされています。
ここでは、その貸金業者取扱主任者の資格内容や受験方法について詳しく解説します。
(1)貸金業務取扱主任者の資格内容とは?
貸金業務取扱主任者の資格は平成21年度から国家資格となりました。令和4年度までに17回の試験が行われています。
資格内容は、①「法及び関係法令に関すること」②「貸付及び貸付に付随する取引に関する法令及び実務に関すること」③「資金需要者等の保護に関すること」④「財務及び会計に関すること」の4分野に分かれています。
(2)貸金業務取扱主任者を受験するには?
貸金業務取扱主任者の受験者資格は特にありません。誰でも受けることができます。
受験は年に1回しか行われないので注意が必要です。また、受験日は例年11月の第3日曜日に行われます。なお、受験する場合は、例年7月から9月の時期に申込を完了させなければいけません。一年に一回しか行われず、申込受付期間もあるので、しっかりスケジュール管理をしましょう。
(3)貸金業務取扱主任者で何ができる?活用できる仕事とは?
貸金業務取扱主任者の国家資格を取得できれば、貸金業を営むことができます。しかし、逆に言うと、貸金業を営むことがなければ持っていても無駄です。
以下の仕事で活かせる可能性があります。
- 貸金業務取扱主任者の資格が活きる仕事
- 住宅ローン取り扱い業務
- ファンドの審査部門担当
- クレジットカード会社での業務
- 貸金業を活用した事業
- 金融事務
なお、合格してもすぐに個人で貸金業を行えるわけではありません。貸金業をスタートさせるには、「貸金業の実務経験を3年以上ある者を常勤で雇用させること」「5千万円の自己資金を用意すること」などがあります。
2、貸金業務取扱主任者の難易度とは?
ここでは貸金業務取扱主任者の資格取得のための難易度について解説しています。
(1)最新2022年度の貸金業務取扱主任者の合格率
令和4年度の貸金業務取扱主任者の合格率は、26.6%でした。
以下、これまでの合格率と合格基準点をまとめています。
年度 | 合格率 | 合格基準点 |
---|---|---|
令和4年度 | 26.6% | 28問(50問中) |
令和3年度 | 32.2% | 31問(50問中) |
令和2年度 | 33.9% | 33問(50問中) |
令和元年度 | 30.0% | 29問(50問中) |
平成30年度 | 31.5% | 32問(50問中) |
平成29年度 | 32.5% | 34問(50問中) |
平成28年度 | 30.5% | 30問(50問中) |
平成27年度 | 31.2% | 31問(50問中) |
平成26年度 | 24.5% | 30問(50問中) |
平成25年度 | 32.9% | 30問(50問中) |
平成24年度 | 25.8% | 29問(50問中) |
平成23年度 | 21.8% | 27問(50問中) |
平成22年度 | 32.9% | 30問(50問中) |
平成21年度第4回 | 61.7% | 31問(50問中) |
平成21年度第3回 | 65.4% | 33問(50問中) |
平成21年度第2回 | 65.2% | 30問(50問中) |
平成21年度第1回 | 70.1% | 30問(50問中) |
近年、合格率は30%前後で推移しています。また、合格基準点は6〜7割前後で、7割取れていたら合格は確実でしょう。
(2)貸金業務取扱主任者の難易度は高い?
資格難易度を表す、資格偏差値を作成している、「資格の取り方」のHPでは、「貸金業務取扱主任者」の偏差値は、53で普通ランクになっています。誰でも受験できる上に、合格率が3割前後なので、勉強すれば合格は難しくない資格だと言えます。
(3)貸金業務取扱主任者の難易度|宅地建物取引士と比較
では、併願する人が多いという宅地建物取引士試験、通称「宅建」と比べると貸金業務取扱主任者の難易度はどうなのでしょうか?
結論から言うと、貸金業務取扱主任者の難易度は、宅地建物取引士試験よりも、易しいです。
①合格率に差がある
貸金業務取扱主任者の合格率は30%前後です。しかし、宅建試験の合格率は約15%~18%です。また、宅建試験は受験資格がなく誰でも受験できます。そのため、どちらも誰でも受験できますが、宅建試験の方が合格率が低いため、貸金業務取扱主任者の方が取りやすい資格です。ちなみに、貸金業務取扱主任者の資格偏差値は53、宅建試験の資格偏差値は57です。(資格の取り方より)
②合格基準点が違う
貸金業務取扱主任者の合格基準点は7割弱ですが、宅建試験は7〜8割です。そのため、宅建試験に合格するには、貸金業務取扱主任者よりも高い得点率が求められます。
これらの点で、貸金業務取扱主任者は宅地建物取引士試験よりも易しいです。
(4)貸金業務取扱主任者|令和4年度は難化した?
資格自体の難易度は、そこまで高くない貸金業務取扱主任者ですが、令和4年度の受験者達からは、難化したとの声が上がっています。
①難化の理由|合格率・合格基準点が近年に比べて低い
合格率は26.6%、また合格基準点は28点で、前年度よりも低くなっています。また、最近の10年とも比べると、どちらも最低レベルでした。
②難化の理由|過去問の傾向と違う問題が出た
難化したと言われる理由の1つに、出題傾向が変わったことも挙げられます。これまでは、単純な法律の正誤を問う問題が多かったです。しかし、令和4年度は、法律を用いた事例について問う問題が見られました。法律の内容や目的をしっかり覚えておくようにしましょう。