鴨井は当初、しらを切り通していたが、週刊誌「新現代」の記者・熊谷由貴(宮澤エマ)が鴨井に揺さぶりをかけるために出した記事を見た事件の目撃者が鷲津のもとを訪れ、鷲津は謝礼金を求めるこの目撃者をうまく利用し、鴨井の“自供”を引き出すことに成功する。鷲津を筆頭に秘書の蛍原梨恵(小野花梨)と蛯沢眞人(杉野遥亮)が、悪事を暴くために証拠をかき集めるさまは、何が全で何が悪かわからないほどだった。恒例となった尾行にはじまり、文哉宅の庭に忍び込んでのゴミあさり、警官の静止を振りほどいての文哉への追及、週刊誌での真相暴露予告記事の掲載、そして目撃者を利用した鴨井へのブラフ……。あの手この手で追い詰められる鴨井の心労を心配するほどの波状攻撃だった。

 ついに、息子が泰生の突き落としの犯人であることを認めた鴨井。第7話で真犯人が明らかになるとは意外だったが、それ以上に驚いたのは鴨井の“覚醒”である。

 鷲津の事務所で2人きりで事件について話し合った鴨井。始めは、事件当時は鴨井文哉が突き落とした相手が誰だったか、そして被害者の容態も知らなかったと弁解し、鷲津の息子で意識不明だと知って、優秀な脳外科医を探すと伝えたり、鷲津の妻・可南子(井川遥)にNPO団体を紹介したりと鷲津家への「贖罪」をしたのだと明かす。そして治療費も、慰謝料も払うからどうか見逃してほしいと懇願するが、鷲津は、可南子が敬愛していた鴨井が隠ぺいに関わっていたことを知ってショックを受けていることに触れつつ、「贖罪? そんなの嘘だ。息子を守りたい? それも嘘。あなたが守りたいのは総理を目指す自分だけ。自分が一番かわいい」「結局あなたも幹事長と同じだ。平気で他人を踏みつける。他人どころか、自分の息子も」と厳しく追及する。すると鴨井は、「自分が一番かわいい。傷ひとつ付けたくない。だって……ほかに女性総理になれる人間がいる?」と開き直る。そして、鴨井が目指していた弱者支援や女性の活躍のために自分はトップに立たなくてはいけないのだと強弁し、「弱い者を守るために、踏みつけてもしょうがない?」という指摘も認めながら、「息子を告発したいならどうぞ。彼ももう25。立派な大人。私とは別の人格ですから。こんなことぐらいで私は潰れない」と堂々と宣言するのだった。

 事件当日、鶴巻に“決断”を迫られた際は、息子を切り捨てるようなことはできないと言って、鶴巻による事件隠ぺいを受け入れていた鴨井。だが、鷲津の追及により、ついに女性総理への道のために息子を切り捨てることを決めてしまった。完全に敵に回ってしまった鶴巻から「おかげさまで、鴨井ゆう子は一皮も二皮も剥けたよ」と感謝されてしまう始末。さらに、熊谷に事件の真相を記事として出させようとするが、鶴巻の圧力により直前で記事が差し替えられてしまう。そして「もう手加減しないよ」と宣告する鶴巻は、鷲津の親友であり副幹事長・鷹野聡史(小澤征悦)に鷲津を徹底的につぶせと命ずる。