何よりもいちばんハラハラしているのは、一緒に起業するのが御園さん(山口紗弥加)だというところなんですが。彼女の強みは、お父さんが町工場をやっていたことと、元新聞記者だったことくらいで、それがどれほど舞ちゃんの新会社「こんねくと」の役に立つのかもわからない。今まで彼女がいろいろできていたのは、新聞記者の肩書きがあったからで、会社の後ろ盾が無くなった彼女に力を貸してくれる人ってどれだけいるだろうか。などと、ついつい辛口になっちゃうんですが……彼女の、インタビューする相手に敬語ゼロのいわゆるタメ口で、よく言えば人懐っこい、悪く言えばズケズケと踏み込んでくるあの感じ、私ちょっと苦手なんですよねえ。どうして舞ちゃんが彼女と組む気になったのか納得できるような描写、もう少し欲しかったなあ。

 でも、パイロットの内定を断った時も、IWAKURAを売却しないでめぐみさんと一緒に工場を続けていくと決めた時も、同じように「そんなのやめなよー」って思ったけど、舞ちゃんはあの笑顔でしつこく諦めず、結局やりとげてしまったので、今回の起業も、うまくいくんでしょうね。でもねえ、舞ちゃん、「世の中にまだないもの」って、実は安全面などいろんな理由で作ってないということもあるし、デザインについてはプロのデザイナーさんにお願いすることも考えてもいいんじゃないかしらねえ。柏木公園(仮)の前のテナント募集になっていたあの空室に「こんねくと」が入ることになったみたいだけど、あんなに何年も空いていたってことはよほど使いづらい物件なんじゃないかしら。あまりに借主が出ないから家賃を値切れたってことならいいけど……ねえ、本当に大丈夫なの、舞ちゃん?

 ……舞ちゃんの親戚のおばちゃん気分でずっと応援してきたつもりが、終わりが見えた今になって「若い子の選択について好き勝手に文句を言うけど、発言の責任をとる気はない遠い親戚」っぽくなってきた。こういう無責任にあれこれ言うおばさんには絶対なりたくないと思ってきたのに、なんということでしょう。「短歌界をしょって立つ新星!」と貴司(赤楚衛二)を励まし続け、初めての歌集の重版を成し遂げただけでなく、連載の企画まで通したリュー北條(川島潤哉)みたいに、ただ舞ちゃんをまっすぐ応援したいんだけどなあ。ああ、リューがうらやましい。新婚さんに、芭蕉のように旅に出ろというのは、ちょっと無茶がすぎるとは思うけど。

■番組情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!
[NHK総合] 月~金 8:00-8:15 / 月~金 12:45-13:00(再放送)
[BSプレミアム・BS4K] 月~金 7:30-7:45 / 土 9:45-11:00(再放送)
[見逃し配信] NHKプラス

出演:福原遥、高橋克典、永作博美、横山裕、高畑淳子、赤楚衛二、山下美月、山口智充、くわばたりえほか
作:桑原亮⼦、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number「アイラブユー」
語り:さだまさし
制作統括:熊野律時、管原浩
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐
プロデューサー:上杉忠嗣、三鬼一希、結城崇史
広報プロデューサー:堀之内礼二郎、齋藤明日香
制作:NHK
公式サイト:nhk.or.jp/maiagare