2023年1月13日の夜、相馬悠依(井上真央)は、幼なじみで恋人の鳥野直木(佐藤健)に誕生日のデートをすっぽかされていた。プロポーズを期待していた悠依は直木の部屋で帰りを待つが、連絡がつかない。怒って開けた冷蔵庫には、プロの料理人である直木が今日のためにつくったハンバーグとプリンが入っていた。ちゃんと誕生日を祝う準備がされていたのを知って気がそがれた悠依は、きっと何か理由があるのだろうと諦めて帰ることに。そんな悠依に、直木は同じ部屋でずっと話しかけていた。実は、直木はある事件に巻き込まれて幽霊の姿となり、戸惑いながら街をさまよっていたのだ。

 数日後、悠依は直木の失踪に焦りを募らせていた。捜索願を出そうと訪れた警察署で窓口の女性警官から説明を受けている最中、届けを受理するように進言してくれたのが刑事の魚住譲(松山ケンイチ)だった。その後、譲は偶然にも管内で起きた殺人事件の捜査中に直木を発見する。声をかけようとするが、街ゆく人たちが直木に気づかず、直木をすり抜けて歩いているのを見て、目を疑う。譲の実家は寺で、代々霊が見える能力を持っていたが、譲自身はこれまで一度も霊を見たことがなかったのだ。ようやく自分が見える人物に出会えた直木は「困ってます、助けてください!」と頼みこむが、「そっちの能力は低い」譲は戸惑い、立ち去ってしまう。しかし姉の叶恵(平岩紙)の言葉を受け、譲は直木に協力することに。そして悠依を訪ね、「いま鳥野直木さんは自分の横にいるのですが、あなたには見えますか?」と真面目に尋ねるのだった。

 警察官である譲の突飛な言動に腹を立てた悠依だが、直木に苦言を呈された譲が「鳥野直木さんを捜す手がかりが必要で、それでお話を伺えないかと」とアプローチを変えたことで、悠依は気を取り直し、譲に直木との関係について語りはじめる。自分と直木の出会いが20年前であったこと、お互い家庭に事情があり里子として預けられていたこと、得意料理のハンバーグをふるまってくれたこと、高校進学まで幼なじみのように育ち2年ほど前に再会したこと……。一通り話を聞いた譲は、改めて自分には幽霊となった直木が見えており、「直木さんはここにいる」と繰り返す。直木は譲に「悠依は白いねこだと言って」と、二人の思い出の絵本『100万回生きたねこ』の話をさせるが、しかし直木が幽霊になったということは直木が死んでしまったということであり、そんなことを認めたくない悠依は「なんのことですか」と去ってしまった。