ホラープランナー吉澤さんに聞くオバケン裏話

一風変わった方南町お化け屋敷「咽び家」を運営するのは有限会社i.h.s groupの「オバケン」です。

体験後、恐怖から解放された私を出迎えてくれたのは、オバケンの吉澤正悟さん。このお化け屋敷を企画するホラープランナーです。さっそくお話を伺いました。

事務所があるのは元お化け屋敷。裏には墓地がある「いかにも」な場所……

──今日、朝からずっと胃が痛かったんですよ……。取材じゃなかったらこういうアトラクションには絶対来ないタイプの人間なので……。

吉澤さん(以下、吉澤):はっはっは!(大笑い)では、事務所に向かいましょうか。

──ひたすら隠れる人と化してしまって、本当に役立たずでした。むしろ、これガンガン動ける人のほうがすごくないですか……?

吉澤:お金を払ってわざわざ来たのに、時間中ずーっと押し入れに隠れたままだった、なんて方もいらっしゃいますよ。

──その気持ち、わかります。でも、同じところに隠れ続けるのも見つかりそうで怖いので、私は多少動きましたが……。

吉澤:せっかく来ていただいているので、勇気を出して古民家内を探索してもらいたいですけどね。

──一応、2階から1階には下りましたよ……! ただ、その後2階には二度と上がれませんでした。

吉澤:(笑)あ、ここが事務所です。

 

──事務所も不気味なんですが……。

吉澤:ええ、ここ、元お化け屋敷なので。今回体験していただいた「咽び家」はシーズン5でして、事務所はシーズン1で使っていた場所なんですよ。ちなみに、裏手には本物の墓地があります。

──シチュエーション、ばっちりじゃないですか……。

オカルト好きな二人が目指したのは、新しい恐怖体験

 

──「何が楽しくてこんな怖いものを作っているんだ……!」という気持ちでいっぱいなのですが、吉澤さんはお化け屋敷好きなんですか?

吉澤:好きですね。オバケンは二人で立ち上げたんですが、学生時代から彼と一緒に心霊スポットや廃墟を巡っていたんです。二人ともオカルト系が好きでして。

──共感できない……。

吉澤:ゾンビ映画とかね、大好きですよ。

──ごめんなさい、まったく理解できません。

吉澤:あ、ゾンビ、無理なタイプなんですね。

──ダメですね……。吉澤さんはホラープランナーということですが、オバケンを作る前からお化け屋敷に携わっていらっしゃったんですか?

吉澤:いや、僕はもともと映像プランナーなので。CMやPVづくりが本職なんです。オバケンは、商店街にある物件を借りてきた社長が、僕らに「おもしろいことを考えてよ」と活用方法のプレゼン大会を行ったのがきっかけです。彼が、「お化け屋敷をやりたい!」と言ったのが採用され、僕も乗っかった。

──商店街の物件なのに、お化け屋敷。

吉澤:その意外性もいいなと思いまして。2012年7月6日にオープンし、話題になりました。

──いわゆるお化け屋敷とは違う、ミッションクリア型にしたのはなぜでしょう。

吉澤:お化け屋敷って、シーラカンスなんですよ。

──シーラカンス?

吉澤:そう。形が全然変わっていない。そのイメージを打破できる斬新なものをやりたいよね、ということでできたのが、ミッションクリア型なんです。さらに、「咽び家」はそもそも「お化け」屋敷ですらない。相手は殺人鬼、人間なので。

──ホームページからもう怖くて怖くて、友人に「お祓いに行っておいたほうがいい……?」と聞いたら、「お化けじゃなくて人なんでしょ? いらないんじゃない?」と言われまして。

吉澤:はっはっは。お祓いはオバケンでもしたことはないですね。あ、でもイベントでコラボさせてもらっている会社さんの中には、安全祈願と称してお祓いをしたというところがありますよ。

──その会社さんの気持ち、わかります……。