コロナ禍で地方へ移住する人は増えてきましたが、今もなお都会に比べると地方ではさまざまな不便が生じています。

一般社団法人日本能率協会は、公益社団法人国際観光施設協会のスマートシティ研究会プロジェクト「LINKED CITY」と共に推進する「地域振興プロジェクト〜つなぐ、つながる、 まちづくり」を、2023 年 2 月 9 日(木)〜10 日(金)の 2 日間にわたり東京ビッグサイトにて開催しました。

旅行は楽しい!でも困ることもあるのが現状

コロナ禍で一時期控えることが多かった旅行も、最近では人々が戻ってきたように感じます。しかし、実際に旅行してみると、地方のタクシーではICカードやクレジットカードが使えなかったり、バスが1日に数本しかなかったりと、実際に困った状況に遭遇したことがある方は多いのではないのでしょうか。

それを解決してくれるのが、観光DX(デジタルトランスフォーメーション)なのです。

DX : デジタルトランスフォーメーションとは

昨今、よく耳にする、DX(デジタルトランスフォーメーション)。改めてその意味をみてみましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善を行ったり新たなビジネスモデルの創出をしたりすることです。また、旧態依然とした古いシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させることも意味します。つまり、デジタル技術を駆使して、人々の生活をより良いものへと変革させ、既存の慣習を根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらしてくれるのです。

観光 DX の推進による観光・地域経済活性化について

地方創生の鍵はDX(デジタルトランスフォーメーション)にあり!
(画像=P・Hより引用)

今回の「地域振興プロジェクト〜つなぐ、つながる、 まちづくり」において、2月9日には、観光庁観光資源課・新コンテンツ開発推進室長 佐藤 司 氏による観光分野における各種課題の解決に資するDXについてのセミナーが開催されました。

観光産業におけるデジタル化・DXの現状

宿泊業においては、オンライン予約に関しては一定程度デジタル化は進んでいますが、データを使って顧客マーケティングをするといった高度なことについてはできていない状況です。また、業務管理や顧客管理については、お客さんが少ない宿泊施設などではいまだに紙で管理していているところが多いのが現状です。そして、DMO(観光地域づくり法人)においても、旅行者のデータを集めて活用できているところは非常に少ないという結果になっています。つまり、観光業界におけるDX化はまだまだ進んでいません。

今までは旅行代理店にお願いして待っていればお客さんは来てくれましたが、コロナ禍をきっかけとして、これまで通りの経営ではいけないと感じる事業者の方々が増えてきました。

DX推進に向けた課題と対応方策

地方創生の鍵はDX(デジタルトランスフォーメーション)にあり!
(画像=P・Hより引用)

このような状況の中、2022年9月に関係者・有識者の方々からなる観光DX推進のあり方に関する検討会を立ち上げ、課題の整理や解決策、将来ビジョンへの議論を行っています。課題の検討については、①旅行者の利便性向上や周遊の促進 ②観光地経営の高度化 ③観光産業の生産性向上 ④観光デジタル人材の育成・活用 といった4つの柱を軸に議論を進めています。これらの主な対応策としては下記の通りです。

旅行者が利用するウェブサイトへの掲載を進める。キャッシュレス決済に対応する。旅行者へのタッチポイントを設ける。

経営戦略がデータに基づき作られることが必須であり、そのために必要なデータを把握し、データを使って旅行者の誘客に繋げていく。

売り上げやそれに対するコストを把握し、業態に応じたツールの導入を検討する。需要予測を踏まえ販売計画を立てる。

産学連携の抜本強化による教育の推進。外部の専門家だけではなく、プロパー人材を採用できるような支援を行う。

DXはそれ自体が目的ではなく、まず地域として何を成し遂げたいのか、地域での目標設定を行った上で、取り組んでいくことがとても大切です。