観覧車から降りた悠依は怒っていた。状況がよくわからない魚住だったが、悠依に遊園地デートを最後まで楽しませてやろうと直木に提案する。しかし、いつ自分が消えるのかお互いに不安を抱えたままで遊園地なんて楽しめないと憤慨する直木。すると直木は久しぶりに魚住の体に乗り移ることに成功。悠依は、この形で直木とこのまま生きていきたいと話すが、魚住の体を借りた直木は、「こんな不自然なの、いつか行き詰まる」と、いつまでも幽霊でいられないと悲観的に語り、「俺たちにこの先はない」「俺はもういないんだよ」と訴える。悠依に新しい人生を送って欲しいと願うがゆえだったが、2人が思い描く未来は真逆を向いていた。

 直木とケンカしてしまった悠依だが、これをきっかけに19年前に莉桜たちと遊園地に来た記憶が蘇る。このときもケンカになったのだ。悠依は突然、莉桜に「悠依はもう帰んな」「こっからはちょっとあんたが邪魔なの」と一方的に言われる。ひとりで帰ろうとした悠依は、白いバンに乗った莉桜と目が合う。莉桜が今にも泣き出しそうな笑顔を浮かべたあと、バンは走り去っていった。莉桜は別れ際、「あんたはこっち来んな」とも言っていた。直木は、莉桜が悠依を何かから逃がそうとしたのではと気づく。莉桜が当時持っていた謎の500万円は、「こっち」に関わっているのか。

 さらに謎が謎を呼んでいく展開の『100よか』。今回もシム・ウンギョン演じるハヨンの出番は多いとはいえなかったが、かつて夫を亡くした経験のあるハヨンの発言は、本作の展開を示唆する内容に満ちている点も注目したい。第5話でも、悠依に幽霊の存在を認めろと言われたハヨンは、「死んだ人と生きている人は住む世界が違います。いつでもそばにいるなんて簡単には思えない。それぐらい死は悲しいものです」と冷静に返す。そして「残された時間があるなら、お別れはちゃんとしたほうがいいよ。私はできなかった」と助言したことで、悠依は直木の葬儀に行けたのだろう。だが、悠依は遺体に花を添える花入れの儀式すらできず、葬式場を飛び出す。一方、直木は自分の体が火葬場に運ばれていくのを見守っていた。遊園地で今後に対する2人の考えがぶつかったのは、悠依は“お別れ”がまだできていないのに対し、直木は“お別れ”を済ませてしまったからだろう。

 また、最愛の恋人である直木を失った悠依との「大切な人を失った者同士」が心を開きあっていくシーンは、悠依の心境を左右する非常に印象的なものとなっている。悠依を演じる井上真央もまた、かつて天才子役として名を轟かせた。天才子役から時代を牽引する俳優に育った2人の共演シーンは、サスペンス要素が強まっていく『100よか』において、“ヒューマン”要素を強調するものとしてますます重要になっていきそうだ。