◆漫画の実写化で見せた、凄まじい再現度と狂気

それは、彼が作品の世界観を何よりも守りながら演じているからだと思いました。ある意味、作品を通しては山田裕貴という人物の個性が全く感じられないのです。これこそ、本当の意味でのカメレオン俳優ではないでしょうか。

『ここは今から倫理です。』
『ここは今から倫理です。』DVD(NHKエンタープライズ)
特に、漫画や小説の実写化作品だと、その徹底した役づくりが顕著に感じられます。『ここは今から倫理です。』の高柳、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』の山田、『東京リベンジャーズ』のドラケン…挙げたらキリがありません。また、ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』で、志村けんさんご本人を演じたのも印象的でした。

「志村けんとドリフの大爆笑物語」
画像:フジテレビ「志村けんとドリフの大爆笑物語」公式サイトより
筆者が特に圧倒されたのは『鋼の錬金術師 完結編』で演じたゾルフ・J・キンブリーです。わずかな出演時間にも関わらず、素晴らしい再現度で、もの凄い狂気を見せつけてくれました。山田のキンブリーで、キンブリー編を作って欲しい!と思うほどの完成度とインパクト。もっと観ていたかったです。