これはSixTONESの3rdアルバム『声』の発売を記念したものである。彼らは3年連続で1月第1週にアルバムをリリースしているが、今作で自身初めてとなるオリコン週間アルバムランキング2週連続1位を獲得し、4週連続トップ10入りを果たすなど好セールスを記録している。

 ジャニーズのグループは初期作品でフレッシュな魅力を押し出し、グループの成熟とともにその音楽性を発展させていくケースが多い。しかしSixTONESの場合、1stアルバム『ST』の時点で音楽的な軸はある程度固まっていたように思う。これまで彼らはロック、EDM、ヒップホップなどを軸に、ジャニーズの新たな音楽的可能性に挑み続けてきた。シングル「Good Luck!」での前向きなポップチューンぶりがむしろ新鮮に聴こえたのも、これまでのリリースを通じてグループのカラーを確立していたからこそであろう。

 最新作『声』では、SixTONESらしさを踏まえつつ、その音楽性の幅を更に拡張している。楽曲の傾向を見ていくと、やはりライブでの盛り上がりが目に浮かぶようなパーティーチューンの存在感が際立っている。特にリード曲「Boom-Pow-Wow!」は〈ほら騒ぎな 声あげな〉というリリックからもわかるように、まさに観客をアジテートするべく生まれた楽曲である。今作を引っ提げたツアーでは先日より声出しが解禁されたため、この曲の持つ意義もグッと増してきていると言えるだろう。彼らのCDデビューは2020年1月であり、その歩みはほぼコロナ禍の期間と重なっている。制限が緩和されてきた今だからこそ、ファンの声を聞きたいというメンバーの切実な思いがうかがえる。

 パーティーチューンと言えば、MVのみYouTubeで公開されていた「PARTY PEOPLE」もそうだろう。シンプルなトラックからホーンセクションをフィーチャーしたファンキーなサビへの広がりが楽しいサマーチューンで、どこかブルーノ・マーズ「Runaway Baby」に通ずるものを感じる。また彼らが以前からレパートリーとしてきたEDM系ダンスナンバーの1つの到達点とも言えるのが「Outrageous」だ。目の覚めるような攻撃的なビートに加え、サビの手前でループの拍がどんどん細かくなるあたりはJ-POPとしては過剰なほどで、その刺激的なサウンドには驚かされた。EDM~ダブステップ~トラップといった展開の多さも、楽曲を一層盛り立てている。