◆『罠の戦争』から繋がる“ネギっ子遺伝子”

 康政と同じようなタイプのキャラクターを杉野はちょうど別のドラマでも演じている。もちろんまったく似ているというわけではないのだけれど、草彅剛主演『罠の戦争』(関西テレビ、フジテレビ系)で杉野が演じる蛯沢眞人は、康政と似た遺伝子を持ったキャラクターとして映る気がする。

 それがどんな遺伝子かというと、雑草根性を持った“ネギっ子遺伝子”。陳情した兄が過労死したことから大臣(本田博太郎)を恨み、同じ気持ちを持つ鷲津亨(草彅剛)と復讐劇を繰り広げる眞人は、大学院で植物学を専攻し、とにかく植物に詳しい。

 大臣に近付くため鷲津の下で秘書見習いになってからも、日常的に植物に関する雑学を要所要所で語り出す。確かな知識に裏打ちされたこのあたりの発言もどこか康政に近しい。

 上司の虻川(田口浩正)によるパワハラが暴かれる第2話に大臣の地元で農作業を手伝う場面がある。スーツ姿で農作業に励む眞人が収穫するのがネギだった。ネギに関する雑学を所構わず披露するが、ネギを収穫するためには泥臭い仕事もいとわない。彼が作業する姿を見た農家の人も思わず微笑む。ここで確認すべきは、康政が生まれた三河国は現在の愛知県であること。愛知県の伝統野菜として有名なのが越津ネギである。

 見た目はしゅっとしていながらも泥臭さを持つ眞人と康政をネギによって繋げてしまう杉野遥亮、彼はネギっ子俳優でもある。