ティム・ストーリーは往年のカートゥーンアニメを実写と融合する際に「オリジナルのルックに忠実にする」ことを心掛けたという。最新の3DCGで映像化することだって可能だったはずだ。だが監督はそうしなかった。3Dアニメでは「らしさ」が出ないからだ。

 確かに最初は実写に2Dのキャラが紛れ込んでいるのは違和感しかないが、トムとジェリーのドタバタアクションを見ているうちにそんなことは全然気にならなくなるのだ。これはトムとジェリーというキャラクターの持つパワーで、それをリアルな3Dアニメにしたら逆にパワーが失われるだろう。

 某日本の国民的アニメ作品みたいになんでもかんでも3Dアニメ化すればいいってもんじゃないんですよ。

 そして物語面でも見どころがある。ベンとプリータのセレブカップルはお互い愛し合っているのに結婚式をめぐってすれ違う。こじんまりとした式でもいいと思っているプリータの意見を聞かず、ベンはサプライズを仕掛けたり、上流階級の父親にいいところを見せようとホテルに象を持ち込んで象の背に乗って登場しようとする。さらに孔雀を飛ばし、トラを運んでくる。動物たちはもちろん平面の2Dアニメだ! そこにトムとジェリーが紛れ込んだことで収集がつかなくなり、動物たちはホテルを破壊して大暴れ、結婚式は台無し。