そんなとき、自分のキャラクターを見極めるきっかけになった番組があったと田中は語る。

「『イロモネア』って番組あったじゃないですか。ギャグとかモノボケとか考えなきゃいけない時間があって。そこで掘ってくうちに、俺、気持ち悪い系がすごいウケるなみたいなことに気づいていくんですよ。で、自信になってって、それがキャラによりなっていったっていうのがあって。菊田には自分のまわりに何があるのか、まずしっかり掘る時間が必要だと思う」

 自分の経験をふまえた実践的なアドバイス。なんだか的確な助言に聞こえる。何を成すにもまずは自分の周りを掘ることが大切という言葉は、芸人の世界に限らず普遍性があるようにも思う。

 それにしても、一般的な表現だと「自分のなかを掘る」と言ってしまいそうだ。が、田中は菊田に「自分のまわりを掘る」ことを進めた。なるほど、田中の「気持ち悪い」といったキャラクターも、番組でさまざまなことを試すなかで、観客や周囲の芸人たちのウケを見ながら作り上げていったもの。それは自分の「なか」から出てきたというよりも、自分の「まわり」との関係で生まれてきた笑いだろう。

 「なか」ではなく「まわり」。あまり意味はないかもしれないけれど、あえての言葉選びという感じもする。どうだろう。