翌日、一星からのアプローチにまんざらでもなさそうに仕事場でニヤついていた鈴は、休憩時間中に手話教室を探し、仕事終わりに参加する。するとそこには、一星の働く会社「遺品整理のポラリス」の社長・北斗千明(水野美紀)も。顔見知りだった2人は教室のあとに飲みに行き、意気投合する。鈴はそのなかで、一星がポラリスで働くことになった経緯を聞く。学生時代に一星は両親を失い、その遺品整理を千明がしたこと。千明の仕事ぶりに感銘を受け、1カ月ほど後に一星が突然会社を訪れ、「遺品整理士になりたいです。ここで働かせてください」と頼んできたこと。こうして一星は、今やポラリスで顧客満足度ナンバー1のエースになったのだった。
週末の日曜日、鈴は勤務している産婦人科の院長・麻呂川三平(光石研)に誘われ、釣りに行く。麻呂川の誘いに乗ったのは、鈴と、45歳の新人医師・佐々木深夜(ディーン・フジオカ)の2人だけだった。だが、麻呂川は結婚記念日を忘れていて、途中で帰ってしまう。釣った魚を調理して食べるため、残された2人は深夜のアパートへ。そこで鈴は、都庁で働いていた深夜が突然医者を目指した理由を訊ねる。すると深夜は、10年前に妊娠中の妻が常位胎盤早期剥離となり、お腹の子とともに急に亡くなった過去を明かす。その現場にはまだ研修医だった鈴がいた。お見送りの現場で一人ボロボロと涙と流す鈴を見て、鈴のような医者になりたいと思ったのだという。
一方、遺品整理の現場で、故人が恋人にあてたと思しき「南へ」と書かれた手紙と指輪を見つけた一星は、これを渡そうと“南”の手かがりを探し歩く。ようやく当人を見つけるも、女性は既婚者で、どうやら故人とは不倫関係のようだった。迷惑と言われているのがわからない一星は、手紙と指輪を突き返され、その反動で後ろに倒れた際にアクシデントで水までかぶってしまう。さらにその夜、鈴を偶然見かけるが、転んだ深夜を介抱する姿を見て、鈴には恋人がいるのだと誤解し、すっかり落ち込む一星だった。