◆「見る=見られる」のシンプルな構図
私たちは『美しい彼』にどうしてこんなに心動かされ、平良一成(萩原利久)と清居奏(八木勇征)の物語に強く引き付けられるのだろう?
「お前、いつも俺のことばっか見てるよな」
シーズン1の第2話で真夏の水浴びを楽しむ清居が平良に言ったこの台詞。高校2年のクラス替えのとき、瞬間的にひとめぼれして以来、平良は片時もはなさず清居を見つめ続ける。純朴で真っ直ぐなその眼差し……。平良が清居を見る。清居が平良に見られる。
要するに本作は、この「見る=見られる」の構図によってドラマが成立している。これほど一貫していてシンプルなドラマ構造だからこそ、視聴者の視線もまた同じようにぶれずに作品世界に注がれ続けるということだろうか。