香水でアンバーというと、どんな香りなのか知りたくありませんか?色であればなんとなく想像がつきますが、香りだと特徴も分かりにくいですね。香水のアンバーの特徴を、原料や効能と一緒にまとめてご紹介します。自分に合うかどうかチェックするための、参考にしてみてください。
「アンバー」の言葉の意味と香りの特徴は?
①クジラ結石が原料の香料
香水で「アンバーの香り」といえば、マッコウクジラの結石を原料とした、動物性香料のことを指します。ジャコウジカの生殖腺分泌物を原料とした香料を「ムスク」と呼ぶように、マッコウクジラの結石を原料とした香料を「アンバーグリス」と呼びます。「アンバー」とは、アンバーグリスという言葉を略したものです。
アンバーグリスは、「竜涎香(りゅうぜんこう)」とも呼ばれる希少な香料です。なんらかの理由でクジラの体外に排出された結石が、長い時間をかけて、海岸に流れ着いたものを発見するしかないためです。捕鯨が盛んであった時代には、解体時にも得られたと言いますが、現在はマッコウクジラの捕鯨は禁止されています。
②アンバーグリスを模倣した合成香料
本物のアンバーグリスは入手が困難であるため、現在では天然物のアンバーグリスを使用した香りは、ほとんどと言っていいほど手に入りません。市販されているアンバーグリスの香水は、合成香料によるものです。そのため、「アンバー」という言葉は、アンバーグリスを模倣した合成香料の香りも意味するようになりました。
③樹脂系の香り
アンバーの香りは、樹脂系の香りを意味することもあります。アンバーグリスは動物性香料なので、不思議に思う方も多いことでしょう。一説には、古代のアラビアやインドなどで、樹脂が化石化した琥珀を原料にした香りがあったことが原因だと言われています。
動物性香料のアンバーグリスがヨーロッパに持ち込まれたのは、古代アラビアを経由してのことでした。持ち込まれる際に、琥珀を原料とした香料の一種だと誤解され、「アンバーグリス」という言葉で呼ばれるようになったという説があります。ちなみに、「グリス」は、灰色を意味する古代ゲルマン民族の言葉です。
また、アンバーグリスの香りを模倣するために、樹木の樹脂を使っていたことが原因だという説もあります。色々な経緯が入り混じって、樹脂系のアンバーと、アンバーグリスの言葉の意味も入り混じってしまったと考えられています。現在でも樹脂系の香りのアンバーの香水があるので、なおさら複雑です。
④琥珀色をイメージした香り
マイナーな意味となりますが、琥珀色をイメージした香りを、アンバーと呼ぶこともあります。あくまでイメージなので、一概にどのような香りなのか、説明できないタイプの香水です。ブランドによっては、バニラ&シトラスの香りを使ったアンバーの香水があると言われています。
アンバーグリスの香りの特徴は?
①深みがある甘さ
動物性香料であるアンバーグリスの場合、深みがある甘さが香りの特徴となります。天然物でも、合成香料でも、甘い香りという特徴は同じです。
動物性香料を原料とする香りの場合、そのまま使用しても良い香りと評されることはありません。香り成分を取り出して薄めていくことで、動物性香料がもつ特有の香りが実現するようになります。アンバーグリスも例外ではなく、樹脂系では真似できない、深みのある甘さが感じられるようになります。
②魅惑的
セクシーで魅惑的な香りであることは、アンバーグリスの最大の特徴の一つとして数えられます。使用した人の色気を引き立て、嗅覚から異性を引きつけると言われているものです。
使用するシーンは、日中よりも夜の方が似合う香りと言えるでしょう。どちらかというと、大人の女性に似合う香りですね。官能的でミステリアスな女性を演出したい場合にも、おすすめの香りです。
③落ち着きがある
香りに落ち着いた印象があることも、特徴の一つですね。マッコウクジラから取れる希少な原料であることから、昔から高価なものとして扱われてきたことが理由だと言われています。品質によっては、黄金の10倍の価値があると言われてきた程です。
そのため、アンバーグリスが用いられるのは、主に高級な香水になります。セクシーでありながら、落ち着いた上品さも演出できる香りなのですね。また、他の香りとの相性が良いことから、ベースノートとしても人気です。
④オリエンタル
同じ動物性香料を使用しているためか、アンバーグリスは、ムスクと同じオリエンタルな香りとして認識される傾向にあります。古代アラビアからヨーロッパに伝わったという歴史も関係して、イメージが定着したのでしょう。
しかし、オリエンタルという言葉を使われても、どんな香りなのかイメージできませんね。エキゾチックで甘く、柔らかい印象が特徴の香りが該当します。
ムスクは、アンバーグリスと並んで人気が高い香料です。人気の香水がランキングで紹介されています。
樹脂系アンバーの香りの特徴は?
①甘いウッディな香り
樹脂系アンバーの香りの場合、やはり動物香を感じさせるものにはなりません。甘い香りであるという特徴は同じなのですが、樹脂香という印象のほうが強くなっていることがほとんどです。
ただし、ウッディな甘さでも、セクシーなイメージやミステリアスさを演出できるタイプになります。しかし、アンバーグリスの甘さと比較すると、厚みや深さがやや物足りないと感じる可能性があります。
②カジュアルな印象
高級感があるのがアンバーグリスなら、樹脂系アンバーは、カジュアルな印象があることが特徴になります。樹脂系であれば、原料の入手もあまり困難ではありませんね。そのため、アパレル系で手が出しやすい価格帯の香水で、よく用いられる傾向にあります。
樹脂系の場合は、アンバーグリスほど気負うことなく使える点がおすすめですね。アンバーの香り初心者の方は、樹脂系から試してみるのも良いでしょう。