◆『エルピス』は、最終回の“その後”が観たかった

『エルピス』のラストでは、冤罪であった松本良夫死刑囚(片岡正二郎)は無事に釈放された。しかしながら、松本に無実の罪をきせた黒幕である大門雄二副総理(山路和弘)、真犯人の疑いのある本城彰(永山瑛太)がどうなったかまでは描かれなかった。

“政治の腐敗はまだまだ終わらない”というメッセージを伝えるため、あえて不完全燃焼にした印象も受けるが、それでも、ハッピーエンドとは言いきれない終わり方に多少のモヤモヤ感は残った。

 視聴者は『エルピス』最終回の“その後”が観たかった気持ちのまま、『罠の戦争』に引き込まれているのかもしれない。

◆巨大な政治の腐敗を描き、どこまで切り込んでくれるのか

『罠の戦争』もまた、政治を軸にした内容になっている。1話では犬飼の「子を産むのは女の仕事」という発言が問題視されたが、恐らく2007年1月に「15から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっている」「機械というのはなんだけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」などと発言した当時厚生労働大臣を務めていた柳沢伯夫氏の発言のパロディと思われる。

 2話では政策秘書の虻川勝次(田口浩正)が犬飼の金の流れをわざわざ手書きで管理していることについて、亨は「手書きはいざという時に処分しやすい」と説明。これに対して蛍原(小野花梨)は「いましたね。家宅捜索されて慌ててパソコンのハードディスク、ドリルで壊しまくった議員」と反応した。

 これは2014年に政治資金を巡る問題を指摘された際、証拠隠滅のために自身のパソコンのハードディスクをドリルで破壊した、と噂の小渕優子衆議院議員を指したものだろう。

 政治ネタを散りばめつつ、4話以降も『エルピス』同様、巨大な政治の腐敗を描き、どこまで切り込んでくれるのかワクワクしてしまう。