◆『罠の戦争』1分でわかるあらすじ

 まずはストーリーを手短に説明しよう。主人公・亨の息子である泰生(白鳥晴都)は何者かによって歩道橋から突き落とされ、植物状態になってしまう。当然、亨や妻の可南子(井川遥)は犯人を探そうとするが、ある日亨は犬飼から「泰生は事故だった」「犯人探しは止めろ」といった趣旨の忠告を受ける。

 亨は政治的圧力が働いていることに気付き、同僚の蛯沢眞人(杉野遥亮)や蛍原梨恵(小野花梨)と協力しながら、息子に重傷を負わせた犯人を見つけるために政治の闇と戦うことを決意する、という内容である。

◆前クール『エルピス』が作り出した熱量を引き継いで

 『罠の戦争』は、2015年の『銭の戦争』、2017年の『嘘の戦争』に続く、待望の“復讐シリーズ”の第3弾ということだ。草彅剛が6年ぶりに連ドラの主演を務めるということもあり、注目度はとても高い。実際、現在3話まで放送されたが、放送終了後にはSNS上に感想があふれている。

 盛り上がりのもう一つの要因として、前クールで同時間帯に放送されていた『エルピス』が作り出した熱量をそのまま引き継げたことも大きいのではないだろうか。

エルピス ―希望、あるいは災い―
画像:関西テレビ/フジテレビ『エルピス ―希望、あるいは災い―』公式サイトより
『エルピス』は『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』(新潮文庫)や『東電OL殺人事件』(新潮文庫)などの参考文献をもとにストーリーが練られた、ノンフィクションに限りなく近いドラマだった。

 その内容は冤罪や根回し、時には人を殺してでも事実を隠蔽(いんぺい)するなど、政治の闇に切り込む挑戦的かつ意欲的な作品で、放送が終了した今でもその余韻に浸っている人は多い。