犬種による違いは?

ここまで、室内飼育と屋外飼育のメリットとデメリット、注意点についてまとめてみました。 次に犬種による違いと環境適正について、ご説明します。 犬との暮らしを考えている方は、参考にして犬種選びに役立て下さい。

室内飼育に適している犬種は?

室内飼育に適している犬種の一つとして「トイプードル」が選ばれます。 トイプードルは季節の変化に伴う毛の生え変わりがほとんどなく、抜け毛が少ないため、被毛による掃除負担も少なくて済みます。 また、トイレトレーニングなどのしつけも比較的簡単に受け入れてくれる気質です。 ただし、毛玉対応として、ブラッシングはこまめにしてあげて下さい。 ブラッシングをコミュニケーションツールとして、上手く活用することも大切です。

「マルチーズ」も室内で一緒に暮らしやすい犬種です。マルチーズは環境順応性が高く、穏やかな性格で室内を激しく走り回ることもなく、散歩時の負担も少なく、高齢者との暮らしにも適しています。 プードルに比べると抜け毛など被毛対応は少し手間がかかります。

一方、チワワなど超小型犬を屋外飼育することには無理があるので、室内飼育がおすすめです。足音などによる騒音もなく、ペット共生型集合住宅でも生活可能な小型犬に分類されます。一方、性格は気が強く、育て方によっては過剰に吠える犬種でもあります。子犬期から子犬教室や幼稚園に参加するなど社会化やしつけなど適正飼育を心がけて、過剰に吠えないように育てることが重要です。また、体は小さくてもマルチーズに比べると要求運動量が多く、ボール遊びや綱引きなど、日頃からしっかりと遊んであげる必要があります。そして、社会性を高めたり、ストレス軽減を図るための散歩はとても大切です。

屋外飼育に対応できる犬種は?

気温など天候が大きく変わる屋外飼育では、季節の変化に対応できる「ダブルコート」の犬種が適しています。ダブルコートとは毛が上毛と下毛の二重構造になっており、季節の変わり目で毛が生え変わる犬種のことです。

ダブルコートで一般的な犬種は、「ラブラドールレトリバー」です。水をよく弾く上毛と冷気を通さない厚い下毛のダブルコートで、寒さにも比較的強いとされています。そして、ラブラドールレトリバーは人懐っこく、優しい性格なので、身近な人だけではなく、初対面の人や動物に対しても友好的です。その気性から盲導犬や病院におけるファシリティ犬、救助犬としても活躍しています。 スペース的に余裕があるのであれば、関係性をより深めることができる室内での暮らしをお勧めします。

最近は少なくなりましたが、番犬という使役目的で屋外飼育を希望されるのであれば「柴犬」や「秋田犬」がその役割を担うと思います。「柴犬」は縄文時代から番犬として人と共存してきました。日本の住環境にとても適した犬種でもありました。しかし、最近では集合住宅が増えるなど日本の住環境も大きく変わり、柴犬との生活様式も変化しつつあります。また、忠実で素朴な性格ですが、神経質で頑固な一面もあります。そのため、ただ単純に広い庭を走り回っているから運動量が足りていると思うのではなく、一緒に散歩したり、ボール遊びや綱引きなどを通じて、コミュニケーションを深めることが重要になります。そのことが良好な関係性と絆を築く助けとなります。

また、秋田犬も優れた知性と高い警戒心を持っています。そのために、番犬としての役割を果たす資質を備えています。一方、心を許した人に対してはとても友好的である反面、初対面の人や気に入らない時には攻撃的になり、噛みつくことがあります。咬傷事故を無くすためには、番犬としての役割を求めるよりも人との関係性を深め、友好的な犬として育てた方がいいかもしれません。 秋田県原産のため寒さに強いのですが、暑さにはとても弱い傾向があります。 気温が高くなりやすい環境は絶対に避け、屋外飼育に共通することですが、狭い場所に係留したり、極端に行動範囲を狭めることは犬への強いストレスとなります。 屋外飼育に対応できる犬だからこそ、室内飼育と同じような配慮が必要になります。

犬とは、室内で一緒に暮らすことをおすすめします

屋外飼育では、車など外の騒音や寂しさから犬がストレスを感じやすく、コミュニケーション不足から関係性も希薄になり、犬の体調変化に気づくのも遅れがちになります。結果として、室内で暮らす犬よりも寿命が短くなります。 犬の心身の健康、人との良好な関係性や絆の構築など、さまざまな視点から犬とは室内で、家族として、仲間として一緒に暮らすことをおすすめします。

しかし、犬の大きさや住環境などの問題から、どうしても屋外飼育を選択する場合には、なるべく犬が寂しがらないように可能な限りコミュニケーションをとり、犬の様子を十分に観察し、小さな異変でも気づけるようにしましょう。

いずれにしても、犬を家族、友人として迎え、生涯を通じて愛情をもって一緒に暮らし、見送る覚悟が必要です。


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