「名刺交換」は、ビジネスにおける大切なコミュニケーションです。これから一緒に仕事をする相手に、いい印象を持ってもらうためにも名刺交換はきちんと行いたいものです。そこで今回は、名刺交換の基本ビジネスマナーを徹底解説します。手順やNG例、一歩先ゆくテクニックまでを一挙に紹介していきます。新入社員はもとより、すでに慣れてきた人も、いま一度自身の名刺交換の仕方を点検してみてください。
名刺交換の基本手順と会話例
相手に敬意を払いながら名刺交換することで、その後の仕事をスムーズに進めることができるでしょう。逆にマナーがなっていなければ、相手に悪い印象を与えてしまうこともあります。
まずは名刺交換の一般的な手順と、その際の会話例をご紹介します。これを基本として、以降で細かなテクニックや注意点をお伝えしていきます。
【手順と会話例】
1.名刺入れから名刺を1枚取り出して会釈し……
「お世話になっております」
2.名刺入れの上に名刺を置くようにして、両手で名刺を持つ
(名刺は相手が文字を読める向きで持つ)
3.名刺を両手で差し出し、相手の目を見ながら会社名・肩書・氏名を伝える
「株式会社○○ ○○部の○○○○と申します」
4.相手も名刺を出している場合は、右手で自分の名刺を差し出し、相手の名刺入れの上に置くようにして渡す
5.自分の名刺を渡したらすぐに左手(名刺入れを持っている手)で、名刺入れの上で相手の名刺を受け取る
「頂戴いたします」
6.受け取った名刺に右手を添える
7.相手の名刺を確認する
「○○様ですね」あるいは「恐れ入りますが、何とお読みすればよろしいのでしょうか」など
8.その場で話をする際は、名刺を胸の高さより下げないよう注意する
以上が名刺交換をする際の基本的な手順です。
名刺交換の基本ルールとポイント
基本の手順を確認したら、次に、守りたいルールと最低限抑えておきたい名刺交換のコツを紹介します。
好印象な名刺交換は準備が9割
名刺交換は準備の段階がとても重要です。例えば、名刺入れを取り出しやすい所に入れておく、名刺の枚数を商談前に確認しておくなど、「人に会う前にしておくべき準備」を怠らないようにしましょう。
いくら正しい手順で名刺交換が行えるとしても、名刺入れをすぐに取り出せずまごついてしまったり、名刺が足りなくなってしまったりしたら全てが台無しです。しっかりと準備をした上で名刺交換に臨むよう心掛けてください。
目下の者が、名刺を「低い位置から」、「先に」渡す
名刺交換のルールとして、「名刺は目下の者から先に渡す」という不文律があります。相手がお客さんであるなら、自分から率先して名刺を渡すようにしましょう。さらに、同時に名刺を交換する場合には、自分の名刺を相手よりも低い位置で渡します。
ただ、ときとしてお客さん側の腰が低く、相手が低い位置で先に名刺を出してきたりすることもあります。その場合は「相手が受け取るまで譲らない」と頑固に考えるのではなく、臨機応変に対応することも大切です。
姿勢をよくして、ハキハキとしゃべる
名刺交換の際、正しいマナーや手順を気にするばかり、姿勢が悪くなってしまったり、口ごもりながら話をしたりする人も少なくありません。「この人は信頼できそうだ」と相手に思ってもらうためにも、名刺交換の際は姿勢よく堂々と話をするよう意識しましょう。
名刺交換でやってはいけないこと
名刺交換時に「これはやってはいけない」というNG例を紹介します。
汚れたり、折れたりしている名刺を渡す
当たり前のことですが、とても大事なポイントです。名刺入れは常に持ち歩くものであるため、名刺が汚れたり、折れたりすることもあります。粗相をしないためにも、必ず手持ちの名刺のチェックをしておきましょう。
テーブル越しに名刺交換をする
相手とテーブルを挟んで向かい合っているような場合、テーブル越しに名刺交換するのはNGです。名刺交換はお互い立って行うのが基本なので、テーブルの脇に移動するなどして名刺の受け渡しをしましょう。
名刺入れ以外の所から取り出した名刺は渡さない
ポケットやカバンから直接取り出した名刺を渡すのもNGです。名刺は相手に渡すプレゼントのようなもの。プレゼントをきれいな包み紙で包むように、名刺も名刺入れから取り出したものを渡します。
もらった名刺をすぐにしまう
名刺を交換したあと、すぐに相手の名刺をしまうのもマナー違反です。すぐにしまう行為は、「あなたには興味ありません」という意思表示にもなりかねません。名刺交換後に立ち話をする場合は、名刺入れの上に置くようにして持ち、座って歓談する場合は名刺入れと一緒に名刺をテーブルに置いておくといいでしょう。
複数人での名刺交換のルールとは
商談の際など、複数人で名刺交換するケースもありますよね。ここではそのような場合、どのような順序で名刺を交換していけばいいのかを確認しておきましょう。
「1人」対「複数人」で名刺交換するケース
名刺の受け渡しの順番としては、「目上の人から」というのが基本です。そのため、相手が1人で自分の側が複数人(その逆もしかり)の場合、「相手と自分側の役職の高い人」がまず初めに名刺交換を行います。続いて2番目に役職が高い人、その次、その次……と順々に交換をしていけばOKです。
「複数人」対「複数人」で名刺交換するケース
相手が複数人、こちら側も複数人という場合も、基本は「目上の人から」です。例えば、3対3の名刺交換の場合。まずは互いに最も役職の高い人同士(下の図の1と1)で交換します。
次に最も位の高い人と相手側の2番目に高い位の人、最も高い人と3番目の人というふうにずれていきます。最後は互いの一番下の位の人が交換して終了です。
3・2・1→
←1・2・3
※数字は役職の高い順を示しています
イメージとしては、サッカーの試合開始前に行われる選手の握手です。互いのチームが一列に並び、順々に選手が握手をしていくのを見たことがあると思います。「複数人」対「複数人」の名刺交換もあのイメージです。互いに偉い順に並んで、順々に名刺の受け渡しをしていきます。
できる人ほどやっている!名刺交換の+αテクニック
ここまで基本マナーを紹介してきました。それに加えて「できたらかっこいい名刺交換のテクニック」をお伝えしていきます。
名刺をもらったときには、会社のロゴや氏名に自分の指がかからないようにする
とても細かなことですが、見ている人は見ています。名刺は書かれている文字やロゴに指を乗せないよう端を持つことを心掛けましょう。
もらった名刺を机の上で席順に並べる
名刺交換後に着席して、商談や打ち合わせを行う際は、受け取った名刺を机の上に置いておきます。さらに、相手が複数名いる場合には、席順に名刺を並べます。その際、最も役職の高い人の名刺を自身の名刺入れの上に置いておくといいでしょう。
名刺入れにこだわる
あなたは、どのような名刺入れを持っているでしょうか。名刺入れは100円均一のものから、ブランドものまで、いろいろな種類があります。
どんな名刺入れを持っているかが、相手の趣味・嗜好を判断する一つの材料になります。必ずしも高価である必要はありませんが、一流のビジネスパーソンたるもの、名刺入れにもこだわるようにしましょう。
名刺交換後のアイスブレークの話題を考えておく
名刺を交換したあと、立ち話や打ち合わせをすることも多いかと思います。特に初対面の場合は、その場を和ませるような会話をしたいものです。
「これから名刺交換をする」というときには、事前に話す話題を考えておくといいでしょう。そのために相手や相手企業の情報を調べておくと話の幅が広がります。