ようするに金で全ての日常を牛耳られている事がよくわかるストーリーに、誰しもがどこか共感をしてしまうというのは大きいのかもしれない。人間の生活は、金によって生かされている。アルバイトで時間を切り売りし、就職し安定した収入を得る。身分相応の生活が出来る事は凄く大事な事で、見栄やプライドが高いと、収入よりももらっているように見せる。そして、嘘によって自分の首を絞めてしまう。人はどこかそういう部分があるので凄く共感をしてしまう。

 殆どの登場人物が金を使う時の理由がプライドにまつわる。お金を持ってしまうと、その金で人によく思われたくなる心理が起きる。そして、より大きな自分を演じてしまう。その心理が他人事とは思えない。生きているうえで必要となる金が、ここまで人間を奈落の底に陥れるのか。

 金が無くて実の母と娘が同じ男に同時に体を売るシーンは頭から離れない。「ママと一緒に3Pしてくれない」。ストーリーを追わずにはいられない台詞が飛び交う。本来ならしない筈の行動が、つねに金がなく、積み重ねでどうなってもよくなってしまい承諾してしまう話の運びが自然で不自然な日常に共感を生んでしまう。

 この漫画の魅力は、いつか自分もこの漫画の登場人物になってしまうという恐怖感ゆえ、自分の落ちぶれる未来を覗き見るように、じっと見てしまうことだ。