さて、私がインタビューをしていた『エルネオス』で、『言ってはいけない』の著者・橘玲とのこんなやり取りがある。

元木 知能が七割、八割遺伝するというと、子供に無理矢理勉強させても無駄ということですか。

橘玲 無意味とはいいませんが、『がんばれば勉強ができるようになる』『よい教育をすれば知能は高まっていく』という教育信仰に重大な疑義が突きつけられているのは間違いありません。

 岸田首相の息子の行状を見ていると、そう思わざるを得ないようだ。

 新潮が、岸田が首相秘書官に“抜擢した” 息子の翔太郎(32)が、岸田が1月に5か国を歴訪する外遊に息子も同行させたが、仕事をそっちのけで物見遊山に精を出していたと報じている。

 フランスでは、分刻みのスケジュールの中で、息子は、

「現地の大使館には翔太郎クンから、パリ市内の観光地を巡りたいとの要請があったそうです。大使館は車を回し、彼はお望みの名所を訪れている。それだけでなく、夕食はビストロを、とのことで、現地のアテンドで気心の知れたスタッフと舌鼓を打ったそうです」(政府関係者)

 続くロンドンでもご要望があり、大使館差し回しの車で、ビッグベンやバッキンガム宮殿を訪れ、ハロッズ百貨店にも立ち寄ったそうだ。

 カナダではトルドー首相と父親、自分とのスリーショットを突然いい出し、周囲を慌てさせ、オタワ市内で、ワインや土産物の購入にいそしんでいたそうだ。

 過去に首相秘書官を務めた人物は、「よくそんな暇があったなという印象です」と語っている。

 当の翔太郎は新潮に対して、

「外遊に行ったら、お土産を買うというルーティンがあってですね。例えば政治家の方々に“総理からです”と。そういうものを買っているんです。私物ではないです、もちろん」

 と、正当性を主張する。

 一政治家ならそうであるかもしれないが、一国の首相が帰国後に土産物をもって挨拶に行くなど、私は聞いたことがない。

 どちらにしても、この親にしてこの子あり。彼の将来は、親を見れば分かるように、知れたものになりかねない。