近年、定年後の生活困窮や老後破産という話をよく聞くようになりました。
実際に、日本弁護士連合会の調査によると、70歳代の破産が近年拡大しています。
2002年では70歳代の破産者の全世代に占める割合は2.73%でしたが、2011年には5.02%、2014年には8.63%、2020年には9.35%と、破産者の1割近くを占めるまでに増加しています。
破産者が増えている理由には、老後の大きな収入源となる年金も関係しているのかもしれません。厚生労働省によると、令和3年度の厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は145,665円、国民年金の受給者の平均年金月額は56,479円となっています。
厚生年金を受け取っていればなんとか生活できるかもしれませんが、国民年金の月額6万円以下で生活していくのは非常に困難といえるでしょう。
では、老後、働くことができず国民年金しか受け取っていない、もしくは厚生年金でも生活できないという場合、生活保護を受給することができるのでしょうか。
年金と生活保護の同時受給は可能
結論からいうと、年金を受け取りながらでも生活保護を受給することは可能です。
生活保護とは、世帯収入だけでは国が定めている保護基準(最低生活費)に収入が満たない場合、その不足額を受給できる制度です。
したがって年金収入だけでは最低生活費に満たない場合には、年金を受給しながらでも不足額を受給できます。
最低生活費は地域や年齢、医療費などによって決定します。例えば、最低生活費が13万円の場合、年金収入で5万円を受け取っているのであれば、差額の8万円を受給できます。