タイトルをみて西城秀樹の歌を口ずさんでしまった人は、きっと「バブル世代」に違いない。今回はそちらの世代ではなく、「ミレニアル世代」のモデル・女優として活躍するローラを起用したライオン <4912> のCMの話題だ。

「ねえ、お口のニオイ気になってるの?」ローラのそんなセリフで始まるのが同社のハミガキとマウスウォッシュ『NONIO(ノニオ)』のCMだ。最後はローラの「セクシーなキス」で締めくくられるこのCMをご存知の人は多いことだろう。

注目されるのは4月18日、ライオンの株価が前日比4.5%高の2364円まで上昇し、年初来高値を更新したことだ。折しも、ローラのCMで売り出した『NONIO』の販売好調等を受けて、同社の売上・営業利益がともに過去最高を記録。先週には外資系証券が格付けを2段階引き上げるなどさらなる成長期待が高まったことが背景にある。

ハミガキやマウスウォッシュは決して目新しい製品ではないが、「ローラ効果」でミレニアル世代に向けた新しいマーケットを創造、さらなる成長の可能性を秘めているのだ。

「ローラ効果」でミレニアル世代に大ヒット!

ライオンといえば、筆者はフジテレビで1991年から2016年まで25年続いた小堺一機の『ライオンのごきげんよう』が思い浮かぶ。同社はハミガキやハブラシでシェアトップ、洗剤や柔軟剤ではシェア3位で、業界では歴史ある大企業だ。平日の昼下がりに放送されていた同番組は家庭の奥様たちをメインユーザーに想定していたものと考えられる。実際、家庭でハミガキや洗剤などを選ぶのは奥様であることが多いのではないだろうか。

そのライオンが新たな層を狙った新製品で勝負にでたのは昨年のこと。新製品『NONIO』は、口臭を科学のチカラで防ぎ、仲間とのポジティブなコミュニケーションをサポートする商品として2017年8月に発売を開始した。冒頭で述べた通り、CMにはローラを起用、彼女の口元にはNONIOの文字があり、話すごとに「O」の文字が開いたり閉じたりするという独創的なものだ。ローラはもちろん、このCMに登場する清原翔と岡本あずさも「ミレニアル世代」であり、NONIOはまさにこの世代を狙った商品と考えられる。

ミレニアル世代といえば、生まれて物心ついた頃から携帯電話やインターネット等に慣れ親しんできた「デジタルネイティブ」である。SNSを駆使して情報ネットワークを操り、多様化した価値観を自然に受け入れてきた世代と考えられる。「Windows95」や「iモード」の分厚い取扱説明書に四苦八苦した筆者とは大違いである。一説によると、仮想通貨市場を盛り上げたのもこの世代とされているが、これからもその多様性から様々な新しいカルチャーを創出し、世の中を大きく変える可能性を秘めていると筆者は期待している。NONIOはこの世代に支持されて大ヒットしたのだ。