工場の経営の悪化、お父ちゃん(高橋克典)の死、工場を存続させるための従業員のリストラと、ドミノ倒しのようにつらいことが起きている舞ちゃん。まさか金曜日に柏木との別れというドミノまで倒れるとはとは思っていませんでした。いや、「くん」とかつけずについ呼び捨てにしちゃうくらいには、さっさと別れたほうがいいとは思っていましたけど、こんな時に。どちらが先に別れを切り出したのかはっきりと語られなかったけれど、「ちゃんと話したくて」と柏木が言っていたので、舞ちゃんから終わりにしたいとメールか電話で言われて、納得できなくてやってきたのかなあ。
それにしても舞ちゃんが心配。丁寧に描かれている工場の従業員のみんなが魅力的だった今週、でも全員を雇っていたら会社は立ち行かない。苦悩するめぐみさん(永作博美)を一人にできない気持ちはとてもわかる。そういう、誰かの苦しみをほっとけない女の子なのは、ずっと見てきたからよく知ってる。でも最近の舞ちゃんが「手伝います」「助けます」ばかりで、「私がやります」じゃないところが、とても気になる。人生の主役であることを降りてしまったかのような言葉が多くて。ここでパイロットになることを諦めたら、ますますそうなってしまいそうで。
そして悠人お兄ちゃん(横山裕)のことも心配。さみしさを親に言えずに育ち、お父ちゃんとはケンカ別れ。お葬式帰りにひとりだけ金髪なところとか、家族から浮いていることの象徴のよう。彼にきつい言葉をかけがちな舞ちゃん、関係が近すぎて言っちゃいけないことをつい言ってしまうんだなあ。その様子を見て、あとでそっと部屋にきてくれる祥子さん(高畑淳子)がいてくれてよかった。飛べずにいるトビウオをはるか上空から眺めて質問するだけだった人は去ったけれど、「トビウオは水ん中おってもトビウオや」と言ってくれる人はいる。葬儀に駆けつける祥子さんに付き添って東大阪まで来て、彼女が帰るタイミングでまた一緒に五島へと戻る貴司くん(赤楚衛二)、全方面に優しい。つらい状況の舞ちゃんに質問して、判断させたり断らせたりするような負担をかけずに「しばらくこっちにおる」とだけ言うのも、本当に優しい。祥子さんと貴司くんに、つらい人に寄り添う方法を毎回教わってます。私もあんなふうでありたい。