一方でTravis Japanは、完成度の高いスキルを武器にデビューを掴んだグループです。とりわけダンスは、世界50以上の都市で予選が開催された正真正銘の世界的ダンスコンテスト「WORLD OF DANCE 2022」で世界9位に入賞するなど、そのスキルはジャニーズという冠を抜きにしても間違いなくワールドワイドに通用することを証明しました。それだけに、デビューに至るまでに要した長い年月は、まさに「満を持して」という表現がぴったりと当てはまるでしょう。デビューにかけた時間の長さは、世界に通用する力を持つまでに至った彼らにとって、相応に大きな意味を持つ、と言えます。

 しかし、応援するファンからすると、そのデビューにかかる時間の長さはまた違った意味を持つようにも思います。私が考えるに、デビュー前のアイドルを推しているファンにとって「応援」には2つの意味があります。1つは、純粋に自分がファンとして、アイドル活動を楽しむための応援、もう1つは、自分が好きなアイドルの地位を向上させるための応援です。雑誌やメディアなどで実施されるファン投票や、アンケート等による投書、そしてTwitterやブログなどの日々の発信でさえ、自分が好きという気持ちを超え、アイドルの活動自体を支援するものに発展することが多々あります。これらの活動は、もちろん好きでやっていることとはいえ、精神的、肉体的、時間的、そして経済的にも、大きな負担を強いることとなります。デビューにかかる時間が長いということは、その大きな負担を長期間継続することを意味します。

 デビューがもたらすものはさまざまありますが、一言で言えば、ある程度の安定的な活動が約束されるものだと、私は考えています。メジャーレーベルによって楽曲が多くのファンに届けられる体制が整うということは、将来的なものも含め、その投資に見合うだけの収益が得られると、所属事務所やメジャーレーベルによって経営判断されたのだと言えます。つまり、収益を得るためのコンテンツが安定的に供給され、ファンはそれらのコンテンツを購入し続けることで、応援するアイドルの歌やダンスを長期間楽しむことができるようになります。