新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校では休校の長期化による学習の遅れが深刻化しています。この影響により、国会などの場で「9月入学」の移行が盛んに議論されてきました。事実上は見送りとされていますが、国際化への対応をはじめ将来的に移行する可能性は大いに残されています。実際に9月入学となった場合のメリットとデメリット、就職活動の変化などについて考えてみましょう。

日本も昔は秋入学だった?

日本では、明治時代の文明開化によって、ドイツやイギリスなど西欧に倣った本格的な初等教育が始まりました。その当時は日本の大学も「9月入学」を採用していたようです。

その後、1900年に小学校令が改正され、4月を新年度の始まりとする制度が導入されました。以後、現在に至るまで4月入学が根付いています。

9月入学案のメリット・デメリット

9月入学案についてさまざまな議論がされる中、実施した場合のメリットとデメリットを考えてみましょう。

今回の9月入学のメリットは、新型コロナウイルスによる休校措置が教育現場に与えた影響を最小限に抑えることができる点です。9月入学にすれば、秋から正式に学年をスタートすることができるため、これまでの学習の遅れを帳消しにできるという考えです。

また今回の状況とは関係なく、海外の大学などでは秋入学制度を採用している国が多いため、日本も同様となれば足並みをそろえ、留学や卒業後の進路をスムーズにできるというメリットも考えられるでしょう。

一方、秋入学になることで、実施年度の学生は社会人になる期間が半年遅れることになり、その間の扶養が必要となって家計に負担が生じるでしょう。

さらに幼児教育や保育を秋入学に合わせられるかなど、切れ目のない教育が実現できるか課題は山積みとなっています。