冷たいキャラクターが急に優しくなったり、「俺、この戦いが終わったら彼女にプロポーズするんだ」と幸せな未来を語るなど、「いつもと違う」様子を見せるシーンがあると「あ、このあとで、この人には何か起こるな」と感じて心の準備ができる。ドラマや映画でよくある、いわゆる「フラグが立った」というわかりやすい死の気配……でも年末放送の第13週と年始の第14週の浩太さん(高橋克典)は「いつも通り」だった。いつも、舞ちゃん(福原遥)の夢を応援している。いつも、めぐみさん(永作博美)の幸せを願っている。いつも、工場とそこで働く従業員のことを大事に思っている。それはフラグなんかじゃなくて浩太さんの「いつも」で、その優しさはこれからもずっと続くと思っていた。でも「いつも」はいつか、なくなってしまうものなのだ。わかりやすいフラグを立てて心構えなどさせてくれず、突然ばっさりと「いつも」は消える。医師に死を告げられても信じることができずに、手術室に入ろうとして止められ、くしゃくしゃにつぶれるように床に座り込んで泣きじゃくるめぐみさんも、ただお母ちゃんにしがみつくしかできない舞ちゃんも、もう「いつもの浩太さん」「いつものお父ちゃん」には会えない。