グウィネス・パルトロー主演作『恋に落ちたシェイクスピア』(98)はその年のアカデミー賞を総なめ、ファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(01~03)は大ヒットを記録した。ハーヴェイ・ワインスタインといえば、ハリウッドきっての辣腕プロデューサーとして知られていた。弟のボブ・ワインスタインと設立した映画会社「ミラマックス」や「ワインスタイン・カンパニー」は、数々の名作や話題作を生み出したブランド企業だった。

 悪い噂はかねてから伝わっていた。女優に対するハーヴェイのセクハラ疑惑は、映画業界では多くの人が耳にしていた。だが、次々とヒット作を生み出す彼に対して、釘を刺す者はいなかった。

 映画業界とは無縁だった2人の記者が、この問題に立ち向かうことになる。大統領候補だったドナルド・トランプの性的スキャンダルを追ってきたミーガン(キャリー・マリガン)とジェンダー問題に詳しいジョディ(ゾーイ・カザン)が、ハーヴェイに関する取材を開始する。

 ワインスタイン作品に関わった女優やスタッフへの聞き込みで、ハーヴェイの悪どい手口が明らかになる。「打ち合わせをしたい」と若い女優や女性スタッフをホテルの一室に個別に呼び出す。バスローブ姿で現れたハーヴェイは「マッサージをしてくれ」と頼み、性行為に及ぶというものだった。マッサージを断ると、何をされるのか分からない恐怖があったという。