筆者の個人的な2022年の映画ベスト10は、10本中4本がアニメ作品、劇中アニメがある『ハケンアニメ!』も含めれば5本となった。『ONE PIECE FILM RED』や『すずめの戸締まり』の大ヒットもあり、世間的にもアニメ映画が大きく躍進した年だったと言えるだろう。他にも『グッバイ、ドン・グリーズ!』や『夏へのトンネル、さよならの出口』や『ぼくらのよあけ』、ゴールデングローブ賞にノミネートされた『犬王』など、優れた日本の劇場アニメが世に送り出されていた。
そして、『私ときどきレッサーパンダ』『ハケンアニメ!』『メタモルフォーゼの縁側』は創作物を愛する人たちと、その人たちをつなぐ物語が紡がれていた。それが期せずして2022年の映画の個人的なテーマになってきたのだ。映画に限らず、創作物に救われた、生きる理由をもらえた、人生が変わったという人は、決して少なくない。その意義を改めて確認することにも、間違いなく意義がある。
また、2022年は有害な男らしさや加害性を描いた外国映画も多かった。『アネット』『バーバリアン』『ドント・ウォーリー・ダーリン』『あのこと』『ザリガニの鳴くところ』『MEN 同じ顔の男たち』などだ。その中でも個人的な10位にあげた『シャドウ・イン・クラウド』は、その中でも最もシンプルかつストレートに「女性を、またその強さを軽んじるな!」と訴えられた、女性へのエンパワーメントに溢れた映画と言っていいだろう。