1位 メタモルフォーゼの縁側
鶴谷香央理のマンガを原作とした、BL(ボーイズラブ)作品を通じて知り合う、歳の差58歳の女性の関係を、とても愛おしく描いた映画だ。とにかく、初めはギクシャクするも次第に打ち解けていく芦田愛菜と宮本信子それぞれが可愛らしくって仕方がない。「悪い人がひとりも出てこない」優しさいっぱいの作品ながら、胸を締め付けるほどの悲しく苦しい心情も繊細に描かれている。そして、「大好きな創作物がある人」への祝福に溢れた、小さな奇跡と幸福を紡ぐ物語と演出には、もはや号泣ものの感動があった。
また、タイトルの「縁側」という場所に込められた意味も素晴らしい。縁側は風通しが良く、陽当たりが良く、誰から塀の外から見られてもまあ問題ない、時には玄関から来た人も加わってもいいという、BLに限らない「好きなものを語る場所」なのではないか。T字路sの「これさえあれば」をカバーした主題歌も作品に実にマッチしていて100点満点。現在は各種配信サービスでレンタル中だ。