そして結果最後となった6回目では軌跡を振り返るかの如く、過去のライブパフォーマンスをバックスクリーンに投影し、BiSHの今昔を共演させると言う演出が。それまでの5回がこの為の壮大でタチの悪い前フリだったとしたらと考えると空恐ろしくなるくらい、その演出は感動的であった。

 斯様にして呆気なく術中にハマるおっさん。続くアクトのBiSH以降曲が繰り返し演奏される事はなかったが、ファン投票で一位に輝いた衣装でのパフォーマンスとなった第2幕、映像を巧みに使いながらの第3幕、バンドを従え人気曲を畳み掛けて行った第4幕と、結果本当にBiSH以外の出演者がステージに登壇する事のないまま、にてフェスは大団円となった。のにも関わらず当フェスは確かに「フェス」であった。それは単純にグループの輝かしくも泥臭い軌跡を祝う祭典、と言う意味合いでのフェスティバルでもあったし、それより何より、1~4幕それぞれの演出の幅広さや濃さのそのいずれにも華麗に適応し立ち回ってみせるグループのアイドルとしての強さであり、そしてそのいずれもを背負ってこなしてそれでいてなお濃厚に匂い立つ個々の演者としての強さを存分に味わう事の出来る、BiSHと言うアイドルが持ち得るダイバーシティの全部乗せ=「フェス」と称するのが1番相応しいとおっさんは思うのである。

 なので12月28日カウントダウンジャパン2022初日メインステージのトリを張るBiSHには是非ともそこで「BiSH -星が瞬く夜に-」の6連発をかまして頂きたいと言う事は多分起こらない訳だがあながちそうとも言い切れない、そんな「普通」の「アイドル」が持ち得る事の出来ない「ダイバーシティ」こそが、自身のみが出演するライブを「フェス」たらしめる事が出来たのであろう。

 果たしてBiSHはカウントダウンジャパンの大トリで同曲を繰り返すと言う暴挙に打って出るのか否か、読者の皆様に是非とも確認に行って頂きたい気持ちであるし、同ステージにて“その前に出るバンド”も楽しんで頂ければおっさんは更に嬉しい(笑)。