そもそも”お笑いを分析しないほうが良い”ということを発信するのも、分析し発信している人たちと大して変わらないと思うのだが。
ちなみに僕はなぜ、お笑いを分析しレビューをするのか。仕事だからしているというのはもちろんなのだが、僕はどちらかと言えば自分の価値観や考え方を知ってほしいというより、芸人一組一組の魅力を伝える為に発信しているという意味合いが強い。
調べてみると世の中には、漫才やコントは好きだが、ある一定のジャンル以外は理解できないという人がいるようで、こういった悩みを見た。
「昔は笑えたのに、最近の漫才やコントは笑えません。周りが楽しそうに話しているのを見ると私も同じように理解したいと思っています。面白さを教えてもらえませんか?」
どこまでが本心で、どこまでが嫌味かはわからないが、もし上記の文章が全部本気の悩みだとしたら、何が面白いか、どう楽しめば良いかを誰かが伝えてあげる必要がある。さらにたったひとりの偏った考え方ではなく、数多くの人のレビューが存在することにより、自分にとって共感出来たり、わかり良い分析を見つけ、お笑いへ対する情熱が再燃するかもしれない。しかも一組一組細かく分析しレビューしてあれば、誰かのファンになってくれる可能性もある。1人でもファンを増やし、1人でも劇場へ足を運んでくれればこれほど嬉しい事はない。
つまりそういった意味でも分析し、レビューすることは決して非難されることではないのだ。
もちろんウエストランドさんが「M-1グランプリ」の決勝戦のネタで言っていたとおり、分析した結果を当の本人に伝えたり、ダメ出しをしたり、アドバイスをするのは違うと思う。
芸人はそのネタに対してこの世の誰よりも情熱を持っており、誰よりも考えて、誰よりも悩んだはず。そんなネタに対して、信頼関係も築けていない第三者が本人に軽々しく口出ししてはいけないのだ。
なのでその本人に届けないつもりで、勝手気ままに分析しレビューするくらいがちょうど良く、そしてそのレビューで少しでもお笑いに興味を持ってもらえればラッキーだ。
物凄く微力だが、分析しレビューすることは僕が、お笑い界に出来る恩返しのひとつなのかもしれない。