テレビドラマの制作現場で、大きな変化が現れている。12月22日に最終回を放送し、今年最大の話題作となった『silent』(フジテレビ系)をはじめ、女性脚本家の起用が急速に進んでいるのだ。

「今年10月期のフジテレビ系ドラマは、女性のスタッフが本当に多かったですね。『silent』は、この作品が連ドラデビュー作となる29歳の若手、生方美久氏が担当した。同じフジテレビで評価が高く、26日に最終回を迎えたばかりの『エルピス』も、渡辺あや氏の脚本でした。しかも『エルピス』は、プロデューサーの佐野亜裕美氏も女性で、彼女はこの作品を世に出すためにTBSから関西テレビに転職したほどの鬼才。月9の『PICU 小児集中治療室』も倉光泰子氏が担当しており、4作品中で3作品が女性脚本家となっていました」(民放関係者)

 これはフジテレビに限った話ではない。テレビドラマの世界では、女性が活躍する機会が増えている現状がある。

「現在、脚本家の変更で話題になっているNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』の脚本家の1人に、桑原亮子さんが名を連ねています。話題のドラマは女性の脚本家が制作する流れが着実にできていて、テレビ業界のスタンダードになりつつある。2023年1月期も、広瀬すずが主演を務める『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)を北川悦吏子氏、吉高由里子主演の『星降る夜に』(テレビ朝日系)を大石静氏と、大御所の女性作家が描きます。大石氏は24年の大河ドラマ『光る君へ』も担当しますし、Netflixで話題のオリジナルドラマ『First Love 初恋』も、寒竹ゆり監督が脚本を作っています。“話題作=女性脚本家”の図式が完全にできあがってるんです」(同上)

 かねてより女性脚本家の存在は決して薄かったわけではないものの、野島伸司氏をはじめ、坂元裕二氏など、カリスマ的な人気を誇る脚本家は男性がメインだった。

 なぜここに来て、女性脚本家が脚光を浴びるようになったのか? その事情を、テレビ関係者はこう話す。

「最近のドラマの現場は、健康的でハラスメントがない環境に変化しつつある。今夏のドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)では、西島秀俊さんが“撮影現場で監督やスタッフが怒鳴らない”、“パワハラやセクハラ、過重労働をスタッフがしない”などを条件にオファーを受けてました。その記者会見で、西島さんが“監督と話し合いながら非常に良い環境で仕事できている”としっかり公言したくらい、現場の意識も環境も劇的に変わってきています。