◆どうして人は分かり合えないのか
――確かに身長も大きな方ですが、エネルギーもすごかったと。
入山「声も大きいし、映画に対しての愛情もすごく大きかったです。とても熱意のある方でしたので、負けないようにと。最初は怖さもありましたが、ふたりが対峙しているところは、大事なシーンがたくさんあるので、大切に積み上げていこうと思いました」
――そんな三好から、暴力を振るわれる大変な役でもありました。本作を経験したうえで、個人として思うことはありますか?
入山「どうしてこんな風に、人は分かり合えないんだろうかと。だからこそ、自分の手の届く範囲にいてくれる人には優しくしたいと改めて思いました」
◆明治生まれのひいおばあちゃんのような女性に
――現在、30代後半ですが、40代、50代、もしくはおばあちゃんになったときに憧れる像はありますか?
入山「私、ひいおばあちゃんにとても可愛がってもらったんです。明治生まれだったのですが、とても長生きで、私が大学生のときに他界しました。平成になってもずっと毎日着物で、夏は浴衣。とてもはっきりと物事を言う人で、大好きでした。なので、ひいおばあちゃんのように、しっかりと時代を生き抜き、ちゃんと自分のことを伝えられる人でありたいと思っています」
――入山さんは朝ドラ『エール』でも本作でも和装がとてもお似合いですが、和装の方は、とてもシャンとされている印象がありますね。
入山「本当に。2階建ての家だったのですが、晩年まで階段の上り下りもしっかりしていましたし、お散歩もよくしていて、ずっとハキハキ喋っていました。行儀の悪いことが大嫌いで、お茶の淹れ方や、靴の脱ぎ方、うるさく足音を立てないようになど。そういったお行儀に関して、ひいおばあちゃんから教わったことがたくさんあります。いまも何かしてしまいそうになると、『ひいおばあちゃんに怒られる』と思いながら、いつも近くに感じて過ごしています」