『新解釈・三國志』(2020)や『ヲタクに恋は難しい』(20)などで知られる、日本コメディ映画・ドラマ界の奇才、福田雄一監督による、クリスマスを舞台とした新作映画『ブラックナイトパレード』が12月23日から公開されている。
本来、クリスマス映画といえば、クリスマス当日ギリギリの公開ではなく、2~3週前に公開するのが相場だと思うが……。イブの前日にぶつけてくるというのは、二宮和也主演の話題作『ラーゲリから愛を込めて』や、大人気ドラマの続編となる『Dr.コトー診療所』など、東宝系の作品が連続していることが理由だろうが、公開日にすらちょっと常人とは違うものを感じてしまう。
ストーリー自体は非常に難解。どうしてそうなっているのか、何が目的なのかということを、何度も見失うほど、迷走していると言っても過言ではない。しかし、そんなことは、もはや“福田組”の常識というか、『新解釈・三國志』や『ヲタクに恋は難しい』でもわかるように、ストーリーテリングはお世辞にも上手いとは言えないことは、ファンであれば想定の範囲内だ。
一方で、『アオイホノオ』(16)や『今日から俺は!!』(18)、『親バカ青春白書』(20)といったドラマ作品には良作が多い。長尺の映画には向いていないだけで、福田監督が優れたクリエイターであることには間違いないということは、筆者としては強く言いたい。
ドラマシリーズやネットドラマならではの、変な“間”の使い方やゆるいテイストで本領が発揮されるのだから、そもそも福田監督に映画企画を振ること自体が間違っているのだ……。
【ストーリー】
これは、本当のクリスマスの話――。コンビニ「ポーソン練間北口店」バイト歴3年。受験、就活失敗。彼女無し。何をやってもダメな男・日野三春。
世間がクリスマスムード一色で盛り上がる中、突如、黒いサンタ服を着た謎の男・クネヒトに連れ去られてしまう。目覚めるとそこは、クリスマスを裏で運営する「サンタクロースハウス」‼世界中から届く子供たちの手紙、山積みのプレゼント、そして大勢のサンタたち…。なんと彼らは、悪い子にがっかりするプレゼントを贈る超激務の“ブラックサンタ”だった。そんな“ブラックサンタ”に就職した三春は、強烈な個性を持つ同僚たち・北条志乃、田中カイザー、古平鉄平と共に働き始めるが、クリスマス滅亡を目論む怪しい影が迫る……。