◆自然派ママにも派閥あり

「ママ友たちの中には、アトピーの子どもを持つ人も少なくありません。それがきっかけで、自然派になる人が非常に多いので。するとその親たちは、また別口で脱ステロイドコミュニティを作るわけです。私のママ友が所属していたコミュニティでは、ステロイドは使わず、たんぱく質をはじめとする栄養をしっかり摂ろうという感じでした。ところがそこへ、玄米菜食の自然派ママが入ってきて意見の衝突が生まれ、いろいろといざこざがあったみたいです」

家族との衝突。コミュニティのもめ事。代替医療(ホメオパシー)で治らなかった子どもの虫歯。地味にかさんでいく、食費(自然食は高い)。自然派仲間の挑戦的な企画(例:おまるピクニック)。そうした出来事が積み重なった状態で、子どもの幼稚園入園の準備から、沼抜けがはじまっていく。

自然派ママ
「入園が近づいてきて、ワクチンを1本も打ってないことが不安になってきたんですよね。入園申込みのときに聞かれましたし。それからコロナ禍がはじまり、海外赴任の夫も帰国できなくて、現地もいろいろ大変なことになっている。なのに、参政党のメンバーが海外のコロナの事情について適当なことを語っていたり、波動で無毒化! とか言ってるの見て唖然としてしまって。参政党は自然派傾倒が強いので、当然自然派ママたちは、共感して支持する。そんな光景を見ていたら、過去の違和感もあわせてなんだかおかしな世界だと、気持が離れていきました。沼抜けできたのはある意味、参政党のおかげかもしれません」

こうしてMさんは、約4年にわたる自然派沼をみずから脱出した。今は子どもにせがまれるがまま、週1ペースで家族でマクドナルドを楽しんでいる。

◆自然派沼にハマりつづける人たち

「最近でもたまにFacebookでつながっている自然派ママ仲間をチラ見しますが、今のところ私以外は、ひとりも卒沼していません。謎めいた療法を提供するヒーリングサロンを開いたり、自然豊かな地方へ移住したり。基本みんな裕福だったので、活動資金も潤沢にあるんでしょうね。そういえばみんな、マルチ商法で有名なお高い鍋持ってたな~とかも、少し懐かしく思い出しました」

もうひとつ、深みにハマらなかったのは、自然派入りする前の古い友だちと手を切らなかったことだとふり返る。