「昨年はDa-iCEの『Citrus』が大賞となり、一部でエイベックスのゴリ押しだとささやかれたが、実際には日本人男性ダンス&ボーカルグループで史上初めてストリーミングサービスにおける再生回数が累計1億回を突破した楽曲。これまでDa-iCEは、ジャニーズへの忖度が強く働いたのか、深夜帯以外の歌番組になかなか出る機会がなかったために一部で『聞いたことがない』という声も出たが、『Citrus』はれっきとしたストリーミングでのヒットだった。そしてレコ大受賞後は流れも変わり、歌番組での露出も如実に増えた。

 審査会はこの結果に手ごたえを感じたと見られ、今年の優秀賞の大半をストリーミングヒットが占めたのはその現れとも。となると、CDでも配信でもヒットしていない氷川や純烈が大賞というセンはない。ヒットの規模でいうと、この中だとAdoの『新世界』が一番大きいと見られるが、レコ大的な“バランス”を考えると、本命と思われるのはセカオワの『Habit』。『紅白』に今年6度目の出場を果たすなど知名度もあり、CD世代のバンドでありつつ、この『Habit』はTikTokをきっかけにストリーミングで大ヒットを記録した。Adoは授賞式でのパフォーマンスができないしね」(同)

 審査基準が「作曲、作詩、編曲を通じて芸術性、独創性、企画性が顕著な作品とする。優れた歌唱によって活かされた作品で大衆の強い支持を得た上、その年度を強く反映、代表したと認められた作品に贈る」とだけしか説明されず、その不透明性ゆえに“デキレース”と指摘されてきた「日本レコード大賞」。“体質”が変化しつつあることを証明する結果となるだろうか。