考えたくはないですが、親や親戚の不幸な知らせは、いつか必ずやってきます。その際、故人の遺品整理をする必要がありますが、遺品整理に慣れている方はほとんどいないのではないでしょうか。

遺品整理をする中で、これは捨ててもよいものだろうかと悩むこともあると思います。ごみだと思って何気なく捨てたものが、後で必要なものだったと気づいて慌てることにもなりかねませんので、遺品整理は注意して行う必要があります。

一般的に遺品整理で捨ててはいけないものには、運転免許証やパスポートなどの行政的に必要なもの、遺産分割などの際に法律的に必要なものなどがあります。今回は現役弁護士の幸谷泰造さんが、法律的な観点から遺品整理で捨ててはいけないものについて解説します。

遺言書

故人の遺言書がある場合は、相続の際に必ず必要となるので絶対に捨ててはいけません。何やら見慣れない封筒を見つけた場合にも、遺言書の可能性があるので絶対に捨てないようにしましょう。

銀行の通帳

故人の銀行の通帳などは預金のありかがわかるものなので、遺産分割の際に必要となります。遺産分割の際に揉める原因にもなるので、必ず残しておくようにしましょう。

借金関係の書類・取引関係の書類

相続はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も相続します。例えばあなたの親が借金をしていた場合、原則としてあなたがその借金を相続することになります。

「親の借金だから関係ない」と思って借金関係の書類を捨ててしまうと、後々債権者から請求が来て慌てることにもなりかねません。マイナスの財産についてしっかり把握しておくことが必要なので、ローンなどの借金関係の書類は必ず残すようにしてください。

また、故人が事業を営んでいた場合、取引先に売掛金や買掛金を有していた可能性があります。取引先との債権債務関係を把握しておくためにも、取引関係書類は保管しておきましょう。