定年後、生活費の大半を公的年金に頼るようになると、収入よりも生活費が上回る世帯もあるでしょう。そうなると貯蓄を取り崩すことになるかもしれません。
貯蓄を毎月取り崩すようになると「今の貯蓄で、あと何年生活できるか?」を計算するようになり、投資でお金を増やす必要性をあらためて感じるかもしれません。
しかし、投資はリスクがあるため、定年後から始めるには向いていないものがあります。今回は、定年後にやってはいけない投資方法や商品を紹介します。
退職金の多くを一括で投資に回すのは危険
定年が近くなると、金融機関の担当者から退職金の運用プランを提案されることも多くなるでしょう。
しかし、退職金の運用プランは大きなお金を一括でまとめて預けて運用するプランが多いため、リスクを抑えるのに有効とされている積立投資の効果が働かないケースがほとんどです。
また定年後は年齢の問題から病気やケガ、介護など急にまとまった支出が発生する可能性が高まります。退職金の大半を投資に回していると、こうした急な資金に対処できなくなったり、含み損がでている金融商品をやむを得ず解約したりする必要が出てくるでしょう。
そのため退職金の運用自体は問題ありませんが、その大半を一括で投資に回すのは避けるべきです。
不動産投資は危険
不動産投資はアパートやマンションを購入して、部屋を貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。入居者がいる限り安定した家賃収入が得られるため、老後の年金の上乗せをつくる投資手法としては適しています。
しかし、不動産投資は、多くの場合アパートやマンションを購入するためにローンを組むことになるでしょう。仮にローンを利用した場合、空室が発生すると家賃が入らずローンの返済だけをする期間が生じるリスクがあります。
定年後、生活費の大半を公的年金に頼っている世帯では、ローンの返済だけをする期間があると、定年後の生活のために用意しておいた貯蓄を大きく取り崩してしまうかもしれません。そもそも年齢的に、ローンの利用が厳しい可能性もあります。
不動産投資は老後対策として、現役世代のうちに始めているなら有効ですが、定年後からスタートするのはおすすめできません。
1つの商品に集中投資するのは危険
定年後、老後資金対策として1つの商品だけ運用するのも避けたほうがよいでしょう。市場には株式相場が好調な時期、債券市場が好調な時期といったサイクルがあるからです。
株式と債券、国内商品、海外商品などをバランスよく保有する「商品の分散投資」をしておくと、1つの商品の値動きだけで一喜一憂することは避けられます。