そして、システム以外の部分でウエストランドの漫才が面白かったのは、多くの人が潜在的に感じている毒を、多くの人には思いつかない的確な言葉で表現しているところ。30オーバー世代の多くは「YouTuberっていけ好かない」というイメージを少なからず持っているはず。それをただ「うざい」と斬るだけでなく、「(YouTuberが)出てきた時はいけ好かない連中だなみたいになって、数年経ってこれはこれで認めなきゃなみたいな風潮があるけど、やっぱりうざい」と、YouTuberに対する感情のプロセスまでも的確に言語化しているところは非常に面白かった。

 これに関しては『世界の果てまでイッテQ』や『月曜から夜ふかし』(共に日本テレビ系)のイジりナレーションが思い浮かびました。両番組は日本テレビ局員の古立善行さんという方が演出をされているのですが、演出の特徴の1つとして、出演者の言動に対するイジりナレーションの秀逸さがあります。このイジりナレーションも、視聴者が潜在的に感じていることを、視聴者には思い浮かばない表現で的確に言語化しているところが面白さのポイントだと思うのですが、ウエストランドの漫才にもそれを感じました。

 あとは最も強く感じたのは、あの毒はまさにプロの芸人の腕があってこそ笑いに昇華できるのであって、我々、しゃべりの素人が生活する中で安易に毒舌を用いるのは要注意ということ。ウエストランドの台頭によって2023年、全国で毒舌事故が多発しないことを願います。それでは今日はこの辺で。