まず1組目は3度目の決勝進出、女性東京しゃべくり漫才師の「TEAM BANANA」。
どの大会においてもトップバッターはとても厳しく見られてしまい、優勝するのはかなり難しい。その辺りの運もこういう大会においては重要な要素になってくる。間違いなく緊張していたと思うが、そんな素振りを一切見せず、漫才の冒頭から落ち着いて笑いを起こしていたので素晴らしい。そしてボケも狙ったところは外さずにウケていたので、この漫才としては100点に近い見せ方が出来たのではないだろうか。
改善点があるとするなら、ボケの質は変化していたのだが、笑いの起きるポイントが一定のテンポで設定されている為、少し平坦なネタに見えてしまった。後半になるにつれてテンポを早めて、連続でボケるようなネタになればネタに緩急がついて、漫才特有の疾走感が出たかもしれない。さらに大ボケの後のツッコミの弱さと、後のボケに関わってくる「気持ち悪い」というツッコミが流れてしまっていたのが、いささか勿体なかった。
2組目は今年のM-1の決勝進出も決定している、独特な世界観をもつ「ヨネダ2000」。
このコンビはAブロックを制し、ファイナルステージへ進出している。ファーストステージのネタはヨネダ2000さんらしい独特なネタで、なんでもありの大会を象徴しているようなネタだった。
率直な感想としては突飛な発想力だったが、笑えるものでは無かった。ネタの展開が発想力に比べるとベタなもので予想出来てしまい、想像を越えては来なかった印象だ。ネタへの好みがあるので一概には言えないが、このネタだけを評価すると僕としてはファイナルステージへ進むのは、別のコンビだった気がする。
ファイナルステージはファーストステージ同様、いかにもヨネダ2000というネタだったが、ファーストステージよりもネタとしてはしっかりしており、ボケの主軸となる発想もぶっ飛び過ぎていないものだったので、笑いやすかった。ネタの最後がファーストステージで使っていた音楽と同じようなものが流れてその曲で踊るというボケだったのだが、ファーストステージで散々聞いたことにより、お客さんとしては新鮮味が薄れ尻すぼみに感じてしまったのではないだろうか。
こういった連続してネタをやる場合は、コンビの色を入れつつも、出来るだけ違うパターンのネタを見せた方が有利だ。ファイナルステージへ進んだ他のコンビと比べたときに、ネタの内容自体はヨネダ2000さんが一番面白かっただけに、最後で笑いが跳ねれば優勝できたかもしれない。とても勿体ない。
3組目は全国放送ではネタ初披露という超新星ピン芸人「さとなかほがらか」。
全国放送初ということもあり、手の震えなどから緊張感が伝わってきた。ほのぼの暴走ガールという紹介とは違い、とてもまとまっているネタに見えたが、ネタの主軸となる歌部分の演技を、あえて無機質にやっているせいで声が聞き取りづらくなってしまい、肝心な笑い所が伝わり切らなかったように思う。
さらに歌のメロディや言っている内容がそこまで展開しなかったので、お客さん的にも慣れてしまい後半、笑いが少なくなった感じがした。歌以外の部分で展開をつけようとしてボケを盛り込んでいたが、出来れば歌部分のメロディや展開にもこだわった方がネタに幅が出来るので最後まで盛り上がれたのではないだろうか。ネタがこじんまりとしていたので、多少収拾がつかなくなろうが暴走ガールならではの暴走を今後見てみたい。
4組目、Aブロック最後は。全大会準優勝の実力派女性芸人「Aマッソ」。
漫才はスピード感がある比較的ベタなしゃべくり漫才で、コントはシュールな世界観があるコントをするイメージ、そしてその両方を高次元でこなすことが出来るコンビという印象。今回は漫才ではなく、得意とするシュールなコントを披露した。
僕はAマッソさんの漫才のほうが好きなので、コントに対して少し捻くれた見方をしてしまっているのかもしれないが、今回はその設定こそ非日常なものだったが、ボケ自体は比較的ベタなものが多かった。漫才のようなやり取りが多々あったのだが、漫才ほどのスピード感は無かったので、どうしても後半になるにつれて失速してしまっているように感じた。
コントだからなのかセリフをハッキリと滑舌よく言い過ぎてしまい、ボケがあざとく見えてしまったのも、失速した要因のひとつかもしれない。もしこのようなシュールなコントをやるのなら、漫才とは全く違うツッコミの仕方や演技の仕方を身につけて差別化を図るべき。