だがそこに、突如として松本のDNAの再鑑定を実施することが決まったという一報が入った。異例の決定を下したのは、もはや出世も左遷もない退官間近の裁判官だ。奇跡的な決断に浅川が希望を見出す一方で、岸本は仮に判決を覆す結果が出てももみ消されると悲観的だ。結局、被害者の遺留品から検察側と弁護側の両方がDNA鑑定を行なった結果、弁護側は松本とは別の人物のDNAを検出したものの、検察側からは「DNA不検出」。再鑑定不能とされ、またも真実への扉は閉ざされた。

 浅川は、事件現場の八飛市出身の大門副総理が、当時報道部のエースだった斎藤(鈴木亮平)を通じて大洋テレビに圧力をかけていたことから、大門の周辺を洗うよう新聞社の政治記者である笹岡(池津祥子)や岸本に依頼する。笹岡は、事件当時に警察庁長官だった大門が仮に真犯人を逮捕させないよう県警に圧力をかけたのだとしたら、大門にとって相当に近しく有力な人物からの依頼があったのではと推測する。

 すると、松本死刑囚を取り調べた刑事ということで以前話を聞きに行ったものの、捜査には何も問題なかったと言い張った平川(安井順平)が岸本に突然連絡してくる。50万円もらえれば何もかも話すという平川は「松本は無実」「無実の人間を犯人にでっち上げた」と証言。警察上層部からの圧力がかかり、真犯人を逮捕させたくないという空気が当時の捜査には漂っていたという。平川は真犯人を本気で逮捕したいなら、昨年の中村優香(増井湖々)殺害事件を追うべきだとアドバイスする。うっかり犯人を捕まえてしまい、それが八頭尾山連続殺人事件の真犯人だったらマズいため、警察はろくに捜査しておらず、そのため手付かずの証拠が未だ多く残っているのだとし、資料が入ったUSBを置いて去る。警察組織の腐敗を嘆き、「自分は正義側」と言いながら、保身のためにこれまで何も行動を起こさず、思考停止で生きてきたことも平然と語る平川に嫌悪感を隠さない岸本だったが、またしても重要の核心に迫っていっていた。

 そして終盤、第3話で浅川が不意に遭遇した謎の男(永山瑛太)が、八飛市の有力者で、大門を支援している本城建託の社長の長男・本城彰であったことが岸本の調査で明らかに。浅川は男に見つめられただけで体が動かなくなってしまった恐怖を思い出しながら、本城彰の名前をメモするのだった。