歌で最も大事なリズム。静香は群を抜いている
一般的に“歌がうまい”というと、次のような能力を思い浮かべるのではないでしょうか。低音から高音まで楽に出せる。音程がしっかりしている。ヴィブラートや裏声などを自在に操れるなど。
これらは豊かに表現するうえで大事な要素です。歌手に憧れるとき、まず身につけたいと考える技術かもしれません。
けれども、どれだけ器用に彩りを与えたところで、根っこがぐらついていては台無しです。歌にとって最も大事なのは、リズムだからです。
これこそが工藤静香の優れている点なのですね。今回のコラボで言えば、彼女の歌が「慟哭」の小気味いい8ビートを際立たせていました。氣志團の素晴らしい演奏との相乗効果で、この曲の肝である軽やかなスピード感が存分に伝わりました。
正確なタイミングで歌詞とメロディを歌うから、曲の内容がしっかりと伝わる。しかもただ正確なだけでなく、声でリズムに強弱をつけることでグルーヴが生まれる。
ビートに乗る俊敏さとそれを使いこなす応用力が、群を抜いているのです。ボーカリストもバンドの一員だと教えてくれる歌なのですね。
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