テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月4~10日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。
川島明「正直、私は『ラヴィット!』に来てほしくないですね」
テレビ番組の出演ランキングで首位になる。そんな野望をオードリーの春日俊彰が積極的に語りはじめたのは、7月に上半期のランキングが公表され、年間1位が狙える位置に自身がつけていると明らかになってからだ。
たとえば、8月10日の『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で、春日は相方の若林正恭とこんなやり取りをしていた。
若林「出演本数のランキングって出るじゃないですか。たぶん春日だけじゃないですか? あの1位めざしてんの」
春日「1位獲りたいですね、年間で」
若林が「たぶん春日だけじゃないですか?」と疑問を投げかけているように、この番組ランキングでの首位獲得への挑戦を公言した芸能人は、過去にあまりいないはずだ。少なくとも私は覚えがない。
似たようなところでいくと、たとえば「流行語大賞を獲りたい」とか「ギャラクシー賞が獲れるかも」といった発言はしばしば聞かれる。少なからず語られるからこそ、「流行語大賞を獲った芸人は“一発屋”になる」みたいなイジりが生まれたり、「なぜこの番組はギャラクシー賞が獲れないのか」と松本人志(ダウンタウン)が冗談にしたり、そういった“遊び”が生まれてきた。
けれど、テレビ番組の出演ランキングは、上位に食い込むことを願うタレント側の発言があまりなかった。だからか、それをめぐる“遊び”もなかった。もちろん発表直後は話題にする番組もあるし、順位の変動を見てタレントの浮き沈みを感じたりもする。が、視聴者の多くにとってこの出演ランキングとの付き合いは、その程度だったはずだ。
テレビ番組の出演ランキング。それは発表を待つものではなく、いつの間にか発表されているものだったはずだ。
が、春日が首位獲得への野心を明らかにしてから、出演ランキングをめぐる動向はエンタメになりはじめた。『あちこちオードリー』ではこの話題が繰り返し語られるようになり、若林がMCを務める『午前0時の森』(日本テレビ系)にも春日がロケで出演するなど数を稼ぎはじめた。11月からは春日が帯番組『バゲット』(同前)の準レギュラーにもなった。
また、同じく上位へのランクインが予想されていた川島明(麒麟)は、春日をゲストに迎えた11月4日の『ラヴィット!』(TBS系)で「春日さんと私は、2022年のテレビ出演本数ランキングで2位、3位を争ってるんですよ」と状況を説明しつつ、「正直、私は『ラヴィット!』に来てほしくないですね」と対立構図をつくって盛り上げはじめた。対する春日も、川島がゲストとして迎えられた同月9日の『あちこちオードリー』で、「極端な話、今日も来てほしくなかった」と応戦した。
テレビのなかで少しずつイベント化されてきた出演ランキング。テレビに出ることがテレビで扱われ、それがまたテレビに出ることの呼び水になり――と若干マッチポンプの感も否めないが、そんなイベントのクライマックスもまた、テレビのなかで迎えられた。この出演ランキング、リサーチ会社によって集計方法が少しずつ違うらしいのだけれど、6日の『ラヴィット!』と『午前0時の森』で、それぞれ別会社のランキングの結果が発表されることになったのだ。
で、私なんかは発表前日、ワクワクして結果を待ち望んでいたわけである。まんまと。その結果やいかに。