人でズラす笑いって?
「笑い」というのは「常識と非常識との落差」があるところに生まれる。そしてその落差によるズレの作り方は、大きく分けて2つ。「発想でズラす」か、「人でズラす」かとなる。
現在のお笑いの主流は「発想でズラす」ほう。例えばおもいっきり単純化すると、「大喜利」に代表される「常識と違う事をうまく言う」事で成立させる笑いであり、シンプルかつ分かりやすく、現在ほぼ全ての芸人の、笑いの骨子となっている。
一方で今回、主軸となっているのが「人でズラす」笑いだ。例えば「泥棒が道徳を説く」行為が滑稽であるように、「人が非常識」であれば、「言動が常識的」であってもそこに落差が生まれる。分かりやすく言うと、「誰が言ってんねん」・「誰がやってんねん」とツッコまれるような笑いのこととなる。
そう、この「人でズラす」笑いの特徴は、「真っ当な言動がボケになる」という所である。
「人(=ここではクロちゃん)」が「-100」の位置にいるから、言動が「常識」の「±0」でも、結果100の落差がつく。実際クロちゃんの言動は、好意を寄せてくれる女性に対してならば、常識からさほどズレていないものも多い、と思えるはず。しかしそこが大きな笑いに繋がっているのは、以上の理由からだ。
それではなぜ、この企画が「人でズラす笑いの決定版」なのか。
それはこの企画中のクロちゃんの言動が、常識を基準値として考えた場合、自身が置かれている位置と「逆ベクトル」に伸びているからだ。先の例でいえば「泥棒が道徳を説く」どころか、「泥棒が聖者として語る」レベル。「超ド級テクのホスト」が女性を掌で転がすが如く、「超ド級のモンスターキャラ」であるはずのクロちゃんが、それと同じ言動を取ろうとしている。自身の身の丈にそぐわない、真反対の言動を取るからこそ、この上なく大きな笑いが発生する、という計算だ。
また上述のように、この企画の笑いのベースは「発想」ではなく、「人」にある。つまりこの企画はクロちゃんの(お笑い芸人としてテレビなどで見せている)人間性に根ざした笑いであり、その為、例を見ないほどオリジナリティの高い笑いとなっている。もし仮に100人の芸人を使って同様のシチュエーションを用意したとしてもここで作られる笑いは、『水ダウ』でしか見る事ができないであろう。
『MONSTER LOVE』は、まだ始まったばかり。「TVer」・「Paravi」でも見逃し配信中です。
提供・日刊サイゾー
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