『ザ・ノンフィクション』どういう人が誹謗中傷をするのか

 とも子は、ネット上で誹謗中傷した相手を訴えており、名誉棄損の有罪判決が下りた71歳男性は、こういった事件にしては珍しく、被告の実名も報道されていた。二審の結審後も被告は「おかしいでしょ、今回の事件」と発言するなど、反省している様子は見えてこない。

 うんざりするような誹謗中傷がある一方で、とも子の長女のある発言に、筆者は「表現力がすごい」と感じた。美咲さんの死を受け入れなくてはならないという心境になったであろうとも子が、お彼岸の日、特攻兵だったとも子の祖父の話を車中でしようとした際、長女が「言い方悪いけどそういう話、今いい!」と叫び、助手席でフリースの毛布にくるまるシーンだ。

 死について今は考えたくないとの思いを伝えたのだが、その前に「言い方悪いけど」とフォローもしている。他人も自分も大切にした発言であり、長女の聡明さを感じた。