◆彼の母親が認知症に

お母さんの介護
 彼の言葉を信じ続けて5年が経過しました。それでも彼に対する愛情は消えることはありませんでした。そして、このタイミングで思わぬ出来事が起こります。

「『離婚する』という言葉を信じて5年が経過した頃、相手の母親が認知症になりました。彼は介護の日々に追われ、忙しそうな日々を送っていました」

 そして、彼は驚愕の一言を発します。

「彼は『母親の介護を手伝ってほしい』と言ったんです。しかも住み込みで……。さすがに唖然としました」

 しかし、理由を知ったら同情心が働き、彼のお願いに承諾してしまったといいます。

「彼は家族と仕事のことで忙しく、加えて介護もするとなると私と一緒に過ごせる時間がなくなってしまうと言い出しました。私はアルバイトだけの生活を送り、相手から少し経済的な援助もしてもらっていたので、申し訳ない気持ちになってしまい……。結局、彼の実家に住み込みで介護することになりました」

◆介護に奮闘する中で、ふと我に返る

疲れる
 好きな人と一緒に過ごせる日々を願って介護を頑張る中田さん。しかし、ふと我に返る瞬間が訪れます。

「もう5年も経っていたので忘れかけていましたが、もともとは離婚することが約束だったのだと思い出しました。ですが、彼に離婚する気配はありません。介護生活の前は彼と週に1回は会っていましたが、今はそれよりも会えていません。『もしかしたら介護要員?』と思うようになり、まだ好きな気持ちはありましたが、彼とお別れをすることを決めました」

 5年以上もの不倫関係に幕を閉じるかと思いきや、彼は予想外の行動に出ます。

「利用されていると我に返り、関係を絶つことを伝えました。すると、彼は子どものように泣き出したんです。次は絶対に幸せにするから離れないでほしいと。結局、今後の話もまともにできないまま、時間が経過してしまっています」

 中田さんは、まだ彼に対して好きな気持ちがあると言いますが、同時に介護するために関係を続けることへの疑問も感じています。なかなか抜け出せない沼にハマってしまった中田さんですが、次こそ別れを決断すると語っています。

<文/Honoka Yamasaki イラスト/zzz>

【Honoka Yamasaki】

ライター、ダンサー、purple millennium運営。
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