舞台は京花の公判に移る。証人として出廷したB一は、京花が犯した「もう一つの殺人」を話し始めた。
LLを救世主だと崇める京花は、「LLの息子」であるB一=八野衣エイジにLLの後継者になってほしいと期待するも拒否され、代わりに浦島エイジに接近するが、やはり「LLの後なんて継ぐわけないだろ!」「君は完全にどうかしてるよ」と拒否されていた。すると京花は、「私のことをちゃんと受け止めてくれる理想のエイジくん」を生み出すため、エイジの中にある2つの人格を消そうとする。京花は、精神科医から聞いた「別人格が自分自身を別人格だと気づいていない場合、その事実を不用意に伝えてはならない」「別人格の消滅を意味する。さらにその影響が主人格にまで及べば、新しい別人格が生まれてしまう危険性もある」という理論を応用し、浦島エイジに「あなたはあとから生まれた、ただのできそこないの人格。この世に存在しない人間」と告げる。別人格だと知った浦島エイジは混乱の末に倒れこんでしまった。
しかしB一はさらに衝撃的な事実を語る。浦島エイジはそれだけでは消えなかった。目を覚ました浦島エイジは、生まれたときから家族に虐待・ネグレクトされていた京花が本当に願っていることは「僕たちに執着していたのは、LLのようになってほしかったからじゃない。君はずっと誰かに認めてほしかったんだ。君という存在を誰かに受け入れてもらいたかったんだ」「君はただ、誰かに愛されたかっただけなんだよね?」と指摘する。そして、殺人鬼の息子として同じように感じてきたエイジは、「クソみたいな僕の人生に、君だけが唯一、僕の居場所になってくれた」「たとえそれが偽りの姿だったとしても、京花ちゃんの存在が僕を救ってくれた」と感謝の言葉を述べ、「京花ちゃんが僕に死んでほしいなら、僕は喜んで死ぬくらいしかしてあげられない」として自ら消滅することを選んだのだった。
そして、LLの信奉者であるはずの京花が、B一にLLが生きていることを教えたのは、浦島エイジのためだった。精神科医の言葉を都合よく解釈し、B一が復讐を果たせばB一の人格が消え、消えてしまった浦島エイジが戻ってくるのではと期待して、B一にLLを殺させようと仕向けた。浦島エイジの最後の言葉に心を打たれ、救われた京花は、浦島エイジともう一度会いたいと思っていたのだ。B一は「浦島エイジは死んだ。もう二度と戻ってはこない。殺したのはお前だ、雪村京花」と残酷に告げる。突然笑いだす京花。それはやがて泣き声になり、その場に泣き崩れる。B一は、「お前はずっと痛みを感じないように生きてきた。まるでLLと同じように。過酷な家庭環境で育ったお前にとって、痛みを放棄することが唯一、現実から逃れる手段だったんだろう。だが、これが大切な人を失う痛みだ。浦島エイジが、取り戻してくれたんだよ」と京花に語りかけるのだった。
1年後。亀一は死刑判決が言い渡されていた。エイジ/B一の協力者だったナミ(川栄李奈)は夢だったアクセサリーショップを開き、出所したB一に、浦島エイジへの感謝を述べながら、エイジに渡せなかったキーホルダーを渡す。「エイジが(売春組織を運営していた)スカルをつぶしてくれたおかげで私は救われた。私だけじゃない。女の子たちはみんなエイジに感謝してる。エイジは私たちにとってヒーローなんだ」と伝えるナミ。復讐のために、常に他人を利用することしか考えてなかったB一は、実父・真と浦島エイジは他人のために動く存在だったのだと気づき、B一が否定してきた“別人格”の浦島エイジこそ「父さんの思いを受け継いでた」と悟る。「父さんはきっと、復讐なんて望んでなかった。消えるべきだったのは、エイジじゃなくて俺のほうだったのかもな」とつぶやくB一。B一にも感謝を述べて去っていくナミだったが、振り返るとB一が耳たぶを触るしぐさをしているのを目撃する。浦島エイジの人格のときだけにあったクセだった。ナミは「エイジはちゃんと生きているんだね、あなたの中で」とほほ笑むのだった。