◆宇和島麦みそは、何が問題だったのか?

まずは今回の宇和島麦みその表示問題をきっかけに、食品表示について知っておきたい2つの法律を確認しながら、表示問題のあいまいさや難しさについて確認していくことにしましょう。

●食品表示法

食品表示に関する基準を定める法律で、食品衛生法・JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)・健康増進法の三法の食品表示に関する規定を一元化した法律として平成27年4月に施行された。今回の麦みそについては、大豆を使用していないという点から違反にあたるが、議論の焦点は景品表示法に違反するか否かである。

●景品表示法

一般消費者の利益保護を目的とする法律で、表示の義務付けを制度趣旨とする食品表示法と異なり、特定の表示の禁止を趣旨としています。

具体的には、①優良誤認表示(品質が実際のものよりも著しく優良であると示すもの)、②有利誤認表示(取引条件が実際のものよりも著しく有利であると示すもの)、③その他の不当表示の3つの不当表示について規制している。

今回の麦みそは本法を厳しく解釈した上で違反と判断されていたが、その後愛媛県は総合的な判断をした上で解釈を変更、指導取り消しに至りました。

◆半田そうめんや沖縄そばでも以前に同様な問題が

(画像:半田手延べそうめん協同組合)
(画像:半田手延べそうめん協同組合)
実はこのような問題は過去にも起こっています。例えば、徳島県の「半田そうめん」。JAS法では、半田手延べそうめんは「ひやむぎ」に分類されるものの、江戸時代より続く伝統と麺文化の地域性が認められ、特別に「そうめん」と表記できることに。

沖縄そばも同様で、食文化の存続をかけて3年間行政に説明を続けた結果、呼称の存続が認められています。

つまり、沖縄そばのケースよりも今回の麦みそのケースでは行政の対応がスピーディかつ柔軟になっているという点は、特筆すべき点だと感じました。

沖縄そば
さらに消費者として心にとどめておきたいのは、製造者や地元関係者の真摯な姿勢です。

つまり、私たちは消費者として行政を批判するしない云々ではなく、食文化の継承を担う作り手の想い・志が伝わるよう、SNS上でも賛同することが可能な時代になっているという点は、今回の問題から得られた嬉しい気づきではないでしょうか。うやむやにされがちな問題について、誰もが疑問を呈する権利や場があることを、再確認できたように思います。