大反響を呼んでいる川口春奈さん、目黒蓮さん(Snow Man)出演のドラマ『silent』(フジテレビ系/毎週木曜10時~)。ヒットの理由はどこにあるのでしょうか?
『みんなの朝ドラ』などの著者で演劇・ドラマなどエンタメに詳しいライター木俣冬さんによる村瀬健さんのインタビューをお届けします(以下、木俣さんの寄稿)。
◆てんとう虫の伏線は予定外。奇跡のように繋がった結果だった
――『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(以下『いつ恋』フジテレビ系、2016年放送)のとき、ラブストーリーが減ってはいるが求められているとおっしゃっていましたよね。
「当時、ラブコメはそれなりにありましたが、いわゆる、しっとりした恋愛感情だけをじっくり描くようなドラマがすごく少なくなっていることを感じていました。情緒のある恋愛ドラマを目指した『いつ恋』は視聴率こそふるわなかったものの、多くのかたに愛された実感はありました。番組公式Twitterのフォロワーも10万人近くいて、いまも残ってくれています。だからこそラブストーリーは求められていると思ったんです。
あれから6年、もう一度、恋愛ものをやってみたら、思いの外、多くの皆さんに受け入れて頂いて、自分の考えていたことが間違っていなかったと感じています」(プロデューサー・村瀬健さん/以下同)
――ミステリーではないにもかかわらず視聴者の間で考察も盛んです。意識的に仕掛けていますか。
「こんなに考察してくださることに驚いているのですが、僕たちは最初から狙ってやっていることはあまり多くなくて。やっているうちに自然にリンクすることがよくあるのですが……。
例えば、明かしてしまうと面白くないかもしれないけれど、第3話と第7話に出てきたてんとう虫(※)は、てんとう虫が幸せの象徴ということが先にあったわけではなかったんです」
「台本打ち合わせで湊斗がベランダに出るきっかけを考えていたときに、部屋に入ってきた虫を外に出すのはどうだろうとなって、セカンド演出の高野舞監督がてんとう虫のアイデアを出しました。てんとう虫が飛び立っていくと、そこに想が現れて……という流れです。そして第7話では図書館で想がてんとう虫の本を手にとります」
「あれも実は、子供が好きそうな本を探していたらその中にてんとう虫が表紙の図鑑があって、サード演出の品田俊介監督がそれを選んだんです。登場人物の行動に根拠を持たせようと丁寧に考えてつくっていくと、奇跡のように出来事が繋がっていくことってあるんですよね」
※てんとう虫には“幸せの象徴”という意味があると気づいた視聴者により、SNS上はでさまざまな考察がなされていた。